感動を届ける印刷技術：東洋美術印刷の「美巧彩」と高精細印刷の世界

印刷は単なる情報の伝達手段ではありません。特に美術作品や文化財においては、その美しさや質感を忠実に再現し、見る人に感動を届ける重要な役割を担います。

東洋美術印刷株式会社が提供する美術印刷ブランド「美巧彩」と、それを支える「高精細印刷」は、まさにこの使命を果たすための要のソリューションです。

本稿では、美巧彩が提供するサービスの全容と、その中心技術である高精細印刷の強みに迫ります。

美術印刷が描くクリエイティブな未来

東洋美術印刷は、長年にわたり培ってきた印刷技術と、クリエイティブな視点を融合させた企業です。

その事業は、Art Print（美術・商業印刷）、Promotion（プロモーション支援）、Brand Design（ブランド・周年事業）、Digital Comm（デジタルコンテンツ制作）の4つの柱から成り立っています。

印刷分野では、ただ紙にインクを載せるだけでなく、高精細印刷、広演色印刷、ジクレー、6色トナー印刷など、作品の魅力を最大限に引き出す特殊な技術を駆使しています。

また、ブランディングやマーケティング、ユニバーサルデザイン（UCD）の視点を取り入れたクリエイティブ＆メディア制作も手掛けており、顧客のコミュニケーション課題を解決する総合的なパートナーとして活動しています。

これらの多岐にわたる事業の中でも、特に注目すべきが、美術印刷に特化したブランド「美巧彩」です。

「美巧彩」は、美術作品や写真、伝統工芸品などを限りなく原本に近づけて再現することを目指した、東洋美術印刷の美術印刷ブランドです。

従来の印刷では表現が難しかった繊細な色合いや階調、質感の再現を追求しており、作品本来の持つ魅力を印刷物として届けることを可能にしています。

そこには、クライアント様のヒアリングを重視し、プリンティングディレクター、キュレータ資格保有のアートディレクター、ベテラン工場チーフといった、それぞれの現場の匠の長年の知識と経験の蓄積で実現されるワークフローが活かされています。

また自主的な印刷研究として「ART PRINT LABO」という活動による実践も行っています。

このように、各分野の専門家が連携することで、印刷物は単なる複製物ではなく、作品の持つ感動やメッセージを伝える媒体へと昇華されます。

告知フライヤーやDM、ウェブサイト、解説パネルなど、展覧会に必要なプロモーションツールも一式サポートすることで、美術展全体の成功に貢献しています。

美巧彩の高品質な印刷物を支える中核技術が「高精細印刷」です。

これは、従来の印刷よりもはるかに高い線数（280線以上）で印刷する手法で、美術展の図録や画集、写真集、カタログ、記念誌などに広く活用されています。

特に絵画や書作品では細かな筆致や色のにじみ・表面のマチエールの表現が、写真では光と影の階調や空気感、色彩の鮮やかさや深みまでも再現できる点が大きな特徴です。

さらに、文化財や歴史的資料を高精細に複製・保存する用途でも活用されており、学術的な価値にもつながっています。

繊細で滑らかな階調表現: 網点の密度が高まることで、グラデーションがより滑らかになり、空の色の変化や肌の質感など、微妙な階調を忠実に再現します。
濃く鮮やかな色密度: 網点が密集することで、色がより濃く、鮮明に表現されます。これにより、写真や絵画の色彩が持つ本来の迫力や深みを再現できます。
優れたディテール再現性: 非常に小さな網点で印刷するため、細かい線や複雑なテクスチャ、微細な文字までくっきりと表現できます。絵画の筆遣い、生地の織り目、縮小されたロゴなども、元の質感を損なうことなく再現可能です。

東洋美術印刷の高精細印刷は、単に線数を上げるだけではありません。

プリンティングディレクターが、印刷物の目的や絵柄に応じて最適な網（スクリーン）を使い分けることで、その魅力を最大限に引き出します。

AMスクリーン高精細: 規則的な網点を使用する伝統的な方式。色の安定性が高く、幅広い用途に対応します。
FMスクリーン高精細: 不規則なランダムドットを使用。網点がないため、モアレ（網点干渉）の発生を抑制し、写真のような滑らかな階調表現が可能です。
フェアドット高精細（AM+FMハイブリッド）: AMとFMの利点を融合した独自の技術。最大650線相当の印刷表現を可能にし、美術作品の複製に最適な、究極の再現力を実現します。

これらの技術は、絵画や写真集、ブランドカタログ、製品カタログなど、高い再現性が求められるあらゆる印刷物でその真価を発揮します。