印刷会社に入社して5年、すっかり職業病が身についてしまったYです。
さて、最初の一文お読みいただけましたでしょうか？
私は「どうしても直したい…！」とむずむずしている文字組み部分があります。
どこかおわかりでしょうか？
…それは(コムデザ)のカッコ“()”です。
どこかぎゅっとして歪ではありませんか？
このカッコ実は半角で出来ており、欧文の英数字に使用するものです。
印刷書物など日本語の組版では、カッコは全角“（）”を使用します。
半角
全角
全角の方がカッコとカタカナのバランスが良くありませんか？
半角・全角それぞれの文字に下線（ベースライン）を引いてみましょう。
全角は線に揃って文字が並んでいますが、半角は括弧()の部分だけ下がって見えます。
なぜ下がっているのか。それは、和文と欧文の文字設計の仕組みが異なるからです。
和文文字は文字のセンターが視覚的にそろうように全角文字を中心にデザインされています。
欧文文字は、fやjなど飛び出している文字が多く、文字の中心でそろえるとバランスが崩れるため、ベースラインを基準にデザインされています。
従って、ベースライン基準でデザインされた半角のカッコ()は、他の文字と比べて位置がずれて見えるのです。
カッコが混在する理由
気にならない、という方もいらっしゃると思います。それは、普段の生活が原因です。
家族や友人からのLINE、仕事のメール、Twitterやインスタグラム、SNS上では半角カッコが混在しています。むしろ半角が当たり前の世界です。
なぜカッコが混在しているのか。その理由はスマートフォンにあります。
上記画像は、iPhoneの文字入力画面です。
私たちが文字を入力する時、潜在的に「文字を早く入力したい」と思っています。
【①和文入力画面】で文字を入力した後、（）を入力するにはどうするか。入力画面を切り替えます。
その際に最初に出てくるのは【②欧文入力画面】です。
この欧文入力画面に、()があります。この()が半角カッコなのです。
全角カッコを使用するには、さらに入力画面を切り替え【③数字入力画面】へ移動する必要があります。
一度押すだけでカッコが入力できるのに、二度も面倒だ！という心理が働いた結果、半角カッコが文章に混在するようになったのです。
まとめ
この半角カッコ、気にしてみるととても気になります。
どんなに格好良くて頭の良い芸能人でもブログを読んでみると、半角カッコを多用していて、ああ残念だなあ…と萎えたり。
真面目な公式文書でもいざサイトを開いてみると、半角カッコの影響でバランスが崩れ、お粗末に見えてしまったり。
「見映え」は良いに越したことはありません！
これからはカッコを見たら、半角と全角をぜひ気にしてみてくださいね！
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