カンプ?台割?今更聞けない校正の用語あれこれ

カンプ?台割?今更聞けない校正の用語あれこれプロモーション

どこの業界にも、外部には意味が通じない「業界用語」というものがあります。

もちろん印刷業界にも一般的には使われていない業界用語も多いです。

今回は印刷の中でも校正のジャンルに絞って用語をいくつか紹介いたします。

なお今回紹介する業界用語の情報は、「JIS Z 8208」で定義された記号や修正方法に基づいてまとめています。[注1]

校正の場面でよく使われている用語あれこれ

「カンプ」

カンプは、印刷物の仕上がり状態をクライアントに確認してもらうために提出する見本のファイルです。

「Comprehensive Layout(包括的なレイアウト)」という英語を略したものが語源で、文章や画像などの位置・大きさ・色といった、全体的なデザインで修正すべきところはないか校正するために使われます。

似たような言葉にワイヤーフレームがありますが、こちらは単純な印刷物のデザイン構成だけを確認する見本なのに対し、カンプは印刷物に掲載する内容を全て盛り込んだ見本という違いがあります。

 

「台割」

台割りは、印刷物のデータをどう印刷するか考慮して刷版のレイアウトを割り振ることです。台割の情報は台割表にまとめられます。

一度の刷版で8ページあるいは16ページ分印刷できますが、この刷版で印刷できるまとまりを「台」と呼ぶことからこの名前がつきました。

現在では、ソフトウェアやクラウドサービスを使ってデジタルで台割の作業をおこなうことが多いです。

 

「級・歯」

級は印刷物で使われる文字のサイズ、歯は文字と文字の間隔のサイズを指しています。

1級・1歯ともに0.25mmで、「級」の語源も1ミリの「Quarter(4分の1)」ということから、Quarterの頭文字のQから名づけられました。

一方、「歯」の語源はかつて印刷で使われていた写真植字機という機械から来ています。

写真植字機は内部の歯車を動かして文字盤を動して写植していたため、もともとは歯車の移動量を表す単位として「歯」が用いられました。

 

「ゲラ」

ゲラは印刷物を校正するために試し刷りしたもので、「ゲラ刷り」「校正刷り」とも呼ばれています。

ゲラという言葉はもともと活字を置いて一列に揃えるための小さな箱を指していて、英語の「Galley(ガレー船の意味)」から来ています。

このゲラでそろえた活字を使っていたため、印刷物のこともゲラと呼ばれるようになりました。

 

「泣き別れ」

泣き別れは改行により単語がページや行をまたがってしまうことを指します。

特に人名や地名などの場合、見づらくなるだけでなく名前を誤認されてしまうおそれがあるため、通常は前後の文字の配置を調節して泣き別れができないようにします。

文字を前の行へ詰めて配置を調節することは「追い込み」、後ろの行へ送って配置を調節することは「追い出し」と呼ばれています。

 

「金赤」

金赤とは、マゼンタ100%とイエロー100%の色をかけ合わせて表現される赤色です。

印刷の赤はマゼンタ100%の状態の色を指していますが、一般的な赤のイメージに近いのは金赤の方なので、両者の色を区別するためこのような呼び方が定着しました。

 

関連リンク

[注1] 公益社団法人日本印刷技術協会:「校正記号」

 

まとめ

専門用語が分かれば校正の作業もぐっと身近になる!

聞き馴染みがなければ、どんな意味なのかパッと分かりづらい校正用語。

しかし用語が生まれたいきさつを見れば、普段使わない用語もスッと頭に入ってくるかと思います。

今後もコムデザインでは校正や印刷に関する記事を配信して、あまり知られてない業界の内側をお見せしたいと思います。

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