知ってると日々の生活がちょっと楽しくなる文様トリビア~ン!その3

知ってると日々の生活がちょっと楽しくなる文様トリビア~ン!その3アート・クリエイティブ
ヒゲモン
ヒゲモン

こんにちは。文様研究室、シニア研究員のヒゲモンです。

文様、紋様の違い

「文様」と「紋様」の違いは分かっているつもりでしたが、この記事を書くにあたりいろいろ調べていたら、あまりネットや辞書ではあきらかにされていない驚きの理由がありましたので紹介したいと思います。

 

そもそもは「紋」

見つけた文献は、文末に参考リンクを掲載いたしました。

この文献によると、もともと考古学会も人類学会も、昔の模様を表わすときに「紋様」と表記していて、「蛇紋」「縄紋」など種類を示す時にも「紋」を使用していたようです。

1880年代の学術誌では、時々誤植で「紋」が「文」になったりして混在していたようです。

誤植って怖いですね。

 

1911年「文様集成」の刊行

1911年に、建築学会が古来の装飾を整理して一覧にした「文様集成」を刊行しました。

この中で「紋様」ではなく「文様」としたことで、「紋」から「文」へ転換が加速したとあります。

これは誤植ではなく意図的です。石畳文様などの文様の名称も、この時から全て「紋」から「文」に変わりました。

おそらく建築装飾としての「文様集成」とは関係がない、風紋、水紋、波紋、指紋、紋章、家紋などの「紋」はそのまま現在までその漢字表現が生きていると思われます。

「元々は『縄紋時代』であり『 紋様』だったのだから戻すべき」という意見もあるようですが、もう今ではほとんどが「文様」で違和感ありません。

面白いのは「文様」が一般化するきっかけとなった建築学会の「文様集成」ですが、なんと編集者に考古学会重鎮の高橋氏がおり、「紋」から「文」への転換を仕掛けたのはこの高橋氏ではないかと、岡山大学の里見氏は指摘しています。

それも意味的理由ではなく、当時流行していた漢字簡易化の流れによるものだったようです。(意味的理由ではないのは残念ですが…)

 

まとめ

漢字の語源による使用の違いが色んなサイトで見受けられますが、建築学会の仕業だったとは…。

しかしこれで自然界の「風紋」と、人が作った「紋章」「家紋」が同じく糸へんなのかが腑に落ちましたね。

詳細に調べて発表してくれた里美氏に感謝いたします。

 

関連リンク

 

関連サービス

東洋美術印刷:文様デジタルデータ「文様百趣」

タイトルとURLをコピーしました