ユニバーサルデザインで大事な「7つの原則」

ユニバーサルデザインで大事な「7つの原則」SDGs

まちなかで「ユニバーサルデザイン」や「バリアフリー」というワードを目にすることってありますよね。

しかし両者がどう違うか、あるいはそもそもどんなものをさしているのか、よく知らないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回はユニバーサルデザインがどのような考えのもとできたものなのか、デザインの基準となる7原則を中心に紹介いたします。

ユニバーサルデザイン=「誰にでも使いやすくしたデザイン設計」

ユニバーサルデザインは身体的・社会的・年齢的なギャップを取り除くよう「誰にでも等しく使いやすいよう設計された」プロダクトデザインで、アメリカの建築家兼工業デザイナーであるロナルド・メイス氏によって提唱されました。

 

彼は1960年代後半以降、国内ではじめて建築におけるアクセシビリティの基準を定めた州の法律を制定する取り組みを実施したことで、彼の地元であるノースカロライナ州はアメリカにおけるバリアフリーのモデルとなりました。

その後、1989年にメイス氏はノースカロライナ州立大学デザイン学科に、建築や日用品におけるユニバーサルデザインの研究拠点となる、アクセシブルハウジングセンター(現在の「ユニバーサルデザインセンター」)を設立して、ユニバーサルデザインの考えを広めていきました。

やがて1997年に公益財団法人日本デザイン振興会が主催するグッドデザイン賞に「ユニバーサルデザイン賞」が新設されて以降、日本にもこの言葉が広まりました。

 

ユニバーサルデザインはバリアフリーから派生した考えと言え、バリアフリーが障がい者や高齢者に向けたプロダクトデザインを指すのに対して、ユニバーサルデザインはより広く誰もが使いやすいように設計されたプロダクトデザインです。

そのため単純に高齢者でも使えるもの、車いすの方でも使えるものはバリアフリーにこそ対応していますが、ユニバーサルデザインに対応しているとはいえません。

ユニバーサルデザインに即しているプロダクトデザインは、以下の「7つの原則」に基づいて設計されています。

 

ユニバーサルデザインの「7つの原則」とは

ノースカロライナ州立大学ではユニバーサルデザインを設計するうえで意識すべき点を、以下の7つの原則としてまとめています。

【ユニバーサルデザインの7つの原則】

① 公平性…身体的・社会的な制限を受けずに誰でも公平に利用できること。
      段差や設置場所などを改善して、誰もがストレスなく快適に使えるようにします。

② 自由性…利用者の状況にあわせて、使いやすい形で利用できること。
      利用者が性別や利き手などの条件で製品や設備を適切に使い分けられるようにします。

③ 単純性…初めて使う場合でも、直観的に利用手順が分かること。
      利用者の言語知識や経験則などに関係なく、すぐに使い方が把握できるようにします。

④ 明確性…利用者が知りたい必要情報に簡単にアクセスできること。
      利用者の五感の能力に関係なく、必要な情報をスムーズに提供できるようにします。

⑤ 安全性…利用時に事故や身体に危害を及ぼすリスクがないこと。
      利用時の意図しない行動で、ケガなどの身体への影響が起こらないようにします。

⑥ 省体力…少ない力で利用できて身体的な負担がかからないこと。
      児童や高齢者など力の弱い方でも、容易に製品や設備を利用できるようにします。

⑦ 空間性…利用のための十分なスペースが確保されていること。
      身体能力に関係なく、誰もが自由にアクセスできる空間を設計します。

この7つの原則にそって設計された製品や設備などが「ユニバーサルデザイン対応」のものといえます。

 

ユニバーサルデザインの代表的な事例

社会のあらゆるものがバリアフリー化されている現在、ユニバーサルデザインに対応した製品や公共機関も日常の中でたくさん見かけているはずです。

① 公共交通機関

電車やバスなどの公共交通機関には、車いす利用者用のスペースや身長に合わせて使い分けられる高さの異なるつり革などのユニバーサルデザインに即した内装が施されています。

他にも駅の自動改札機も、車いすの方がスムーズに通れるよう広く幅をとっているものが増えてきました。

 

② 公共施設・公道

エレベーターやスロープといった設備の設置をはじめ、安全に身体を支えられるようクネクネと波型にして滑りにくくなった手すり、乳幼児連れの方なども使いやすい多機能トイレ、地名をより意訳に近い形で外国語に翻訳した道路標識など、街中を歩けば次から次へとユニバーサルデザインの取り組みを見かけられます。

 

③ 生活雑貨(文房具や調理道具など)

文房具や調理道具といった生活雑貨には、力をかけなくても安全に利用できるよう改良されたアイデアグッズが多いです。

手の負担を最小限におさえられる包丁、刃の先端をさわってもケガしないカッター、針先がカバーで包まれ刺すときだけ出る押しピンなど沢山のユニークな製品が開発されています。

 

④ 家電製品・電気製品

家事や仕事で毎日のように使っている電気機器もユニバーサルデザインを考慮して設計されたものが少なくありません。

ボタンやその文字を大きくしたリモコン、音声ナビや呼びかけによる操作ができる機能、誤動作によるケガを防ぐロック機能など、メーカーの知見を駆使した機能を家電に搭載することで利便性を高めています。

 

その他にもこんな珍しい事例も

街中に設置されたゴミ箱には、捨てるゴミの種類ごとに色分けされたものも多いですが、色弱の方や外国人旅行者などは判別しにくいことがあります。

そこで筑波大学は缶やペットボトルなど捨てるゴミの形にあわせて作られたゴミ箱が設置されていて、パッと見て何を捨てられるかが分かりやすくなっています。[注1]

ユニバーサルデザインに対応した製品や設備の中には、こうしたユニークな工夫を生かしたものも少なくありません。

気になった方は調べてみるのもおすすめです。

 

まとめ

7つの原則で「誰にもやさしいデザイン」に

ユニバーサルデザインはバリアフリーより広く、誰もがストレス無しで使えるよう設計されたプロダクトデザインです。

ユニバーサルデザインの考えは使いにくさの原因を取り除くための「7つの原則」がもととなっていて、現在街中で見かけるユニバーサルデザイン対応のものはいずれかの原則を満たすよう設計されています。

ユニバーサルデザインに対応しているのは「もの」だけではありません。

紙面やWEB上の画面などのレイアウトデザインにも、ユーザーの使いやすさを向上させるためのユニバーサルデザインが存在します。

 

関連リンク

[注1] 筑波大学「つくば ごみばこ ぷろじぇくと」

関連サービス

東洋美術印刷:情報のユニバーサルデザイン

 

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コメント

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