伝わる表示デザインの実現においてかかせない「カラーユニバーサルデザイン」

伝わる表示デザインの実現においてかかせない「カラーユニバーサルデザイン」プロモーション

カラーユニバーサルデザイン(CUD)は個人の色の見え方(色覚)の多様性に配慮したデザイン設計の考え方です。

同じ色でも色覚が異なると全く違う色に見えることもあります。

数年前、ネットである写真のドレスが白色・金色と青色・黒色のどちらに見えるか話題になったことがあります。実際のドレスの色は青色・黒色ですが、明るい部分の見え方など様々な理由から違う色に見えてくるそうです。

こうした色覚の違いは看板や冊子を読むとき、特定の色が見えないために内容が読み取れず情報が正しく伝達できなくなるリスクを引き起こします。

今回は色弱などの色覚特性を持つ人でも、等しく情報にアクセスできるためのデザイン設計、カラーユニバーサルデザインについて説明していきます。

カラーユニバーサルデザインができた背景

カラーユニバーサルデザインは、公共空間や日用品などに取り入れられているユニバーサルデザインを色彩デザインに関して特化させたものといえます。

2004年にカラーユニバーサルデザイン協会(CUDO)が発足して、カラーユニバーサルデザイン普及による色覚バリアフリーの実現のための活動が始まりました。

この背景として日本人男性の約5%が何らかの色覚特性を持っており、日本人全体でみると色覚特性を持つ人は大阪市の人口より多く320万人ほどいることがあげられます。

 

カラーユニバーサルデザインの重要性

災害や感染症など不特定多数の人の命にかかわる緊急情報をはじめ、身の回りの情報デザインは一瞬見ただけで必要なことが分かるよう様々な色を効果的に活用しています。

例えばテレビやネットの災害情報では、大まかな地域区分を緊急度にあわせて赤色や黄色などの色で区分けすることで、現地の人などにすぐ安全性を把握できるようにしています。

しかし色覚特性によってはこのような緊急情報がうまく識別できず、避難できず取り残されるといったリスクも起こりえます。

たとえ緊急性がなくても、色覚による情報誤認が健康面や金銭面で何らかの不利益につながる場合は色彩デザインの是正が必要になってきます。

 

色覚特性と色の見え方の違い

人間の目には錐体と呼ばれる光を認識する視細胞があり、この錐体が色を感知することで私たちは視界を認識できるようになっています。

細かく言うと錐体は3つのタイプがあり、それぞれが赤色・青色・緑色の光を感知しています。この光を脳の中で組み合わせて多彩な色を認識しています。

色覚特性は錐体の光の感度が鈍くなることで、特定の色が色あせて見えるなど感知しづらくなっている状態です。

カラーユニバーサルデザイン協会では主な色覚特性として以下のタイプに分類しています。

  • 「P型色覚」…黄色~赤色の感度が鈍くなっている
  • 「D型色覚」…緑色~橙色の感度が鈍くなっている
  • 「T型色覚」…紫色~青色の感度が鈍くなっている

実際色覚特性の大半がP型色覚かD型色覚であり、Photoshopなどの画像制作ツールには作成した画像がどう見えるか2つの色覚特性での見え方をシミュレートできる機能が実装されています。

 

高齢化社会におけるカラーユニバーサルデザインの重要性

人間の目には視界のピントを調節する水晶体という組織がありますが、水晶体は老化などが原因で黄色く濁りやすく、その結果として視界が黄色っぽく見えるといった症状のある白内障を引き起こします。

一般的に40代を過ぎると水晶体が徐々に濁り始めるといわれ、ゆっくりと進行することから当人でも視界の変化に気づけないことも少なくありません。

ほかにも老化による水晶体の機能低下が原因で青色の光が見えづらくなると、緑色や黒色などの寒色系の色が見えにくくなることもあります。

現在の日本は高齢化大国ともいわれるほど高齢者の割合が年々高くなっていますが、色覚が衰えやすくなる高齢者に正しく情報を伝えるためにも、カラーユニバーサルデザインは重要です。

 

同じ色でも状況によって見やすさが変わってくる

冒頭のドレスのように、同じ色でも光の当て方や隣接する色などによっては別の色だと認識してしまうことは珍しくありません。

代表的な例として明るさの等しい青色と赤色の図形を暗い空間に映すと、相対的に青色は明るく赤色は暗く見える「プルギンエ現象」があります。

2022年にJAFは服の色によってドライバーが横断歩道の歩行者を認知できる距離が変わってくるかという実験を行いました。

その結果、赤い服を着た歩行者はハイビームで照らすと140m離れた地点でも視認できるが、ロービームだと28m手前まで近づかないと見えないことが分かりました。

このように同じ色でも状況によって見やすさが異なることからも、カラーユニバーサルデザインによる情報デザインの改善が効果的だといえるのです。

 

カラーユニバーサルデザイン導入のポイント

① 色覚特性の差で起こりうるリスクを想定する

まず現状の情報デザインが色覚の差によってどう違って見えてくるか、カラーユニバーサルデザイン協会の支援ツールやブラウザ・画像制作ソフトなどの拡張機能などを使ってシミュレーションしてみましょう。

特に赤色は明るい場所で目立ちやすいため「立入禁止」や「火気厳禁」といった警告色として使われやすいですが、夜間ではかえって暗くなってしまい目立たない色になってしまいます。

そのような場合、文字やピクトグラムは白色で色のコントラストを強めるなどはっきり見えるようにするための工夫が重要になります。

 

② 使用する色の数をおさえる

様々な情報をカラフルに書き分けるといっても、利用する色の数が多くなると全体的にまとまりのない見た目になりやすく、どの色がどの情報に対応してるか判断しにくくなってしまいます。

なるべくデザイン全体で利用する色の数は、以下の「基本の3色」も参考にしながら必要最低限におさえておきましょう。

  • ベースカラー:紙面や画面など「地」の背景色。白などの淡い色が一般的。
  • メインカラー(無彩色):全体的な文字や図形の色。黒など暗めで濃い色が一般的。
  • アクセントカラー:重要事項やリンクボタンなど目立たせる場所に用いる色。赤や青など鮮やかで濃い色が一般的。

カラーユニバーサルデザイン協会では、この基本の3色をベースとしたカラーユニバーサルデザイン配色セットというものを展開しています。基本の3色は色彩設計において、いわば骨組みのようなものだといえるかもしれませんね。

 

③ 色のコントラストにメリハリをつける

文字と背景など隣接する色の組み合わせは、色合いよりも明るさの差で決めましょう。

例えば赤色の背景に緑色の文字を入れたデザインだと、人によっては文字も背景も同じ色に見えてしまいます。

正常を緑色、エラーを赤色で表す仕掛けも一般的ですが、色だけだとどちらの状態にあるのか色覚によっては判断できません。

一方で隣接する色のコントラストがはっきり出ていれば、例え色覚特性を持っていたとしても色が同化して見えてしまうリスクを減らせます。

例えば赤色の背景なら文字を白くすることで、暗い場所でも文字ははっきり見えてきます。

隣接する色のコントラストの差は「4.5:1」が理想的といわれ、こうしたコントラスト差は無料のWEBツールなどで簡単に調べられます。

 

④ 色だけに依存しないデザイン設計を心がける

グラフや地図などで様々な項目の情報を表示し分ける際、色だけ変えて区別することも少なくありません。

しかし赤色と緑色などの色が隣接してしまうと、色覚特性によっては同じ色に見えてしまい情報が伝わりづらくなってしまいます。

こうならないよう図形の模様や形状を変えながら表示させて、同色でも別々の図形であることが分かるような工夫が必要です。

例えば折れ線グラフなら線を点線や二重線に変えてみる、円グラフなら各項目の色を淡い色と濃い色で交互にすることでコントラストを出してみるといった方法が挙げられます。

 

カラーユニバーサルデザインの導入事例

近年では多くの自治体や企業がカラーユニバーサルデザインのガイドラインを設けて、様々な場面で活用しています。

例えば鳥取市は公式ガイドラインにのっとって市内の主要施設のカラーデザインを調査し、トイレのピクトグラムを濃い色の地に白抜きのシルエットが入ったものにすることで、夜間でもはっきり判別できるようにするといった改善を行っています。

民間でも様々な業種の企業がカラーユニバーサルデザインに適応した情報デザインを取り入れており、東京や大阪など大都市の地下鉄では複雑な路線網をイメージカラー以外でも見分けられるよう、駅ごとにアルファベットや番号を割り当てて、どの路線に乗れば駅に行けるかわかるようにしています。

 

カラーユニバーサルデザインでやさしい情報デザインを実現しよう

カラーユニバーサルデザインは様々な色覚特性の方でも等しく情報を伝えられることを目的としたデザイン設計の考え方です。

現在、日本には色覚に何らかの特性がある方が300万人以上いるといわれ、彼らが色の見え方に左右されず正しく情報を認識するうえでカラーユニバーサルデザインは必要不可欠になります。

カラーユニバーサルデザインを取り入れるポイントとしては、まずは今の情報デザインに問題がないかチェックして、使う色の数をおさえたり隣接する色のコントラストを強めたり、あるいは色以外でも伝えられるよう表記の方法を変えたりといった工夫が効果的です。

ここ数年で沢山の自治体や企業が導入し始めているカラーユニバーサルデザイン、商品パッケージや設備の案内などに活用してユーザーフレンドリーな情報デザインを実現していきたいですね。

 

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