企業が自社の製品やサービスを顧客にお見せするための場所として設けられるショールーム。
しかしそれ以外にも、ショールームは様々なかたちで企業に役立つコンテンツとして活用できます。
今回はショールームを設置することによるメリットや運用するためのポイント、おもなショールームの形態について解説いたします。
ショールームを設置するおもなメリット
自社製品を展示するショールームは、自動車や寝具といった大きなものから文房具やレトルト食品などの小さなものまで様々なもののメーカーが設置しています。
その理由としてショールームが製品の魅力を来客の方に伝えるだけでなく、マーケティングや営業支援、人材育成に採用など企業活動のあらゆる場面で有効活用できるツールであるためといえるでしょう。
メリット①:会社の認知度やイメージを高められる
不特定多数の来客者に対して、自社や製品・サービスを紹介して認知度や企業イメージを広く向上させられるのがショールームの一番のメリットといえるでしょう。
また製品やサービスとともにその背景にあるビジョンやパーパスなども併せて展示することで、来てくれた方によりよいブランドイメージを広める効果も期待できます。
ほかにもメディア関係者やインフルエンサーなどを招待するといった、広報活動の場としての活用方法もあります。
メリット②:製品の感覚的な顧客体験を提供できる
自社の製品や設備を来てくれた方に実際に触れたり動かしたりすることで、カタログやWEBサイトでは伝わらない体感的な魅力をショールームで伝えることができます。
またスタッフが製品のデモンストレーションをおこなうことで、製品の機能性や効率性などを来客の方に直接アピールすることもできます。
製品の実物を展示するだけでなく、映像や音声と組み合わせて空間的な演出を施すことでより記憶に残る顧客体験を実現させることも可能です。
メリット③:リードのニーズや意見を調べられる
ショールームに来てくれた方のリアルな感想を集めることで、マーケティングに活用できるデータを効率よく調達できます。
受付の際にアンケートに協力してもらったり、展示内容に対するリアクションを見たりして声を調べていけば、ニーズや製品の改良点などが見えてくるかもしれません。
また相談カウンターや商談用ブースなどを設けることで、購買意欲が高まった来客を認知してスムーズに購入検討へと誘導することもできます。
メリット④:社員・従業員の自社への理解を深められる
ショールームは社外の方にだけでなく、社内の人に自社に対する理解を深めるツールとしても役立てられます。
例えば新入社員やインターンへの研修の一環としてショールームを観覧することで、手っ取り早く自社の製品や技術について詳しく知ってもらうことができます。
また受付や運用業務を担当する社員に展示内容や自社の理念をより深く知ってもらうことで、他の業務でも知見を生かせる可能性がでてきます。
ショールームを運営する上でのポイント
ポイント①:ショールームの目的を明確にする
まずはショールームを何のために開設するのか、あらためて目的をしっかり定めておきましょう。
明確な目的が固まったら設営や運用の担当チーム内でしっかり共有しておいて、認識のズレで生じる業務の無駄が出ないようにしておきます。
同じ展示内容でもショールームで見せることで誰にどうしてほしいか目的が変われば、展示のコンセプトやレイアウトも大きく変わります。
ポイント②:具体的なペルソナ像をまとめる
ショールームを開設する目的がまとまったら、どのような方に来てほしいか来客者のペルソナ像を具体的に設定していきます。
性別や年齢だけでなく家族構成や趣味など細かく設定するほど、ターゲットに合わせた展示レイアウトを考えやすくなります。
BtoB向けのショールームの場合はどんな会社の方に来てほしいか、業種や規模といった企業のペルソナ像を考えてみるのもよいでしょう。

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ポイント③:統一したコンセプトを決める
ショールームのインパクトをより強く来客者に残すため、展示レイアウトや演出方法の軸となる全体的なコンセプトを考えていきます。
特に会社や製品のブランドイメージを向上させたいなら、価値観やビジョンといった理念や製品の裏側にあるストーリーに反映させるのも効果的です。
来客者に伝えたいことがきちんと伝わるショールームになるよう、コンセプトは誰にもわかりやすくできるだけ具体性のあるものにしましょう。
ポイント④:展示するレイアウトを工夫する
ショールームはただ展示物を陳列すればよいわけでなく、来てくれた方の導線などを考慮してレイアウトを決める必要があります。
単純な見やすさや移動のしやすさはもちろん、ショールームを通じて伝えたいことがより伝わるよう展示物の順序や位置を決めていきます。
また照明器具や音響器具を用いた演出を導入することで、展示内容の感覚的なインパクトをより強められるのでおすすめです。
ポイント⑤:接客の応対ルールを設定する
ショールームの受付業務をマーケティング関係者や工場勤務の方など、普段営業や接客に携わらないような方が担当することは珍しくありません。
どんな人が業務に就いても問題のないよう、受付業務の応対をマニュアルやルールブックなどで事前にまとめておくなどの手段を施しましょう。
他にもより多くの方に来てもらえるよう、ショールームを自社の公式サイトやSNS公式アカウントなどで紹介するのも忘れずに行います。
ポイント⑥:定期的に展示内容を更新する
ショールームのブランディング効果を長く持続させるには、定期的に展示内容を更新することで目新しさをかもしだすのも一つの手です。
特にメーカーや小売店が「今一番おすすめしたいもの」を変えたタイミングは、新たなおすすめをショールームで広くアピールするチャンスといえます。
またイベントや特別企画などを実施して、新たな層の来客者を狙ってみるのもいいかもしれません。
ショールームの主な形態
① 体験型ショールーム
自社の製品を来客者に試しに使ってもらって、製品の認知度やエンゲージメントを高める目的で開設するショールームです。
実際に現地に足を運んで製品を体感することで、カタログよりも強いインパクトを与えられるほか、利用後の製品に対するイメージのギャップが起こりにくく返品やクレームの抑制にもつながります。
② 展示型ショールーム
自社の製品をショーウィンドウなどで展示することで、ビジュアル的な印象を高めてブランドイメージを向上させる目的で開設するショールームです。
製品の製造工程や開発までのみちのりなどの情報をからめて展示しやすく、企業としての製品への思いや背景情報を共有するのに適した形態といえます。
③ カフェ併設型ショールーム
カフェスペースを併設することで、休憩や歓談などのついでに自社や製品を知ってもらう目的で開設するショールームです。
ここ数年で事例が増えてきている形態で、自動車や家具など様々なジャンルのメーカーが自社製品を見ながらくつろげるショールームを開設しています。
④ 期間限定型ショールーム
予算などの理由で常設が難しい場合やあるターゲットにピンポイントでPRしたい場合などに、期間を限定して開設するショールームです。
新商品や期間限定商品を知ってもらう場として導入されることも多く、来客者向けの特典を設けたものなど様々な企業の事例が見られます。
目的やターゲットをしっかり定めてショールームを開くべし
企業が製品やサービスを展示するショールームには、リアルだからこそのメリットが数多くあります。
中でも感覚的な顧客体験価値を提供することで来客者の関心を高められるのは、大きな利点といえます。
失敗しないショールームの運用には、最初に目的やペルソナをしっかり決めたうえで分かりやすいコンセプトのもとで展示内容を考えていく必要があります。
展示形態もさまざまなものがあるため、どんな形のショールームなら一番効果が出そうか納得するまで検討してみるのが重要です。