日本の文化芸術を海外へ発信
私たち東洋美術印刷では創業の想い「美しく刷る術(すべ)」を大切にし、個人から美術館まで多くの図録やポスターの制作に携わってきました。
今回は美術複製制作、展覧会パンフレット、展示会パネル、説明キャプションの制作を担当いたしました国際交流基金 文化事業部様の事例をご紹介いたします。
国際交流基金は広く日本の文化芸術を海外に発信している独立行政法人。ヴェネチア・ビエンナーレ日本館のコミッショナーとしても知られています。
今回は日本の妖怪をテーマにした海外巡回展の展示複製作品やツールを東洋美術印刷が担当いたしました。
関連リンク:妖怪大行進:日本の異形のものたち(海外巡回展)
国内各所所蔵の妖怪作品データを集約し、美術複製印刷出力
中世から江戸期そして現代にまで至る幅広い年代にわたる、妖怪をモチーフとした貴重な巻物や錦絵などの作品はその性質上、長期にわたり海外でオリジナルを展示するのが難しい状況でした。
そこで各美術館・博物館の画像アーカイブから提供されたデータを用いて今回展示する作品の複製を制作することに。
和紙の阿波紙をベースとした美術複製出力の工程では、まずコレクション収蔵の大部分を占める「三次もののけミュージアム」へと赴き、現物の色味をチェック。
更に既存の図録や研究書の色味を基準に展覧会監修の先生と展覧会キュレーターと共にテスト印刷の色味チェックを重ね、複製制作を進めていきました。
集まったデータで英文パンフレットを制作
複製制作で集約された作品画像と解説文をデザインレイアウトして展覧会パンフレットも制作いたしました。
海外巡回展なので本文は英文、すべての作品画像を掲載するために画像サイズを小さくし、リカバーするために高精細印刷を採用。小さい絵柄でも高密度な表現が実現しました。
表紙加工も長期海外搬送を考慮したニス加工を、用紙には環境を意識したFSC認証用紙を使用しました。本文目録データからの説明キャプションパネルも同時制作しました。
巡回地域はヨーロッパから南米の予定でしたが、世界的なコロナ禍で度々順延に。
仕切り直しで、2021年4月22日~6月13日 東欧はスロベニア/スロベニア民族博物館(リュブリャナ)からのスタートが決定いたしました。
展示作品の中には話題になった疫病除けの妖怪「アマビエ」特集もあり、海外を巡回して鑑賞者に神秘と希望の印象とともに、興味深い日本の妖怪文化を伝える事になります。
まとめ
「美術印刷で美しく伝える、残す。」のモットーが、海外へと広がりを持った事例です。
海外巡回展なので国内で展示に触れる機会はないのですが、制作した複製画やパンフレットを通じ、妖怪が現代でもマンガやキャラクターとして活き続けていることや人々の暮らしと共にあることが、日本文化の一つの面として海外に伝わればと願っています。
・関連資料のリンク
・国際交流基金
・三次もののけミュージアム
・関連サービス:美術印刷「美巧彩」
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