あなたは知ってる?印刷のアレコレ(オフセット印刷の工程編)

あなたは知ってる?印刷のアレコレ(オフセット印刷の工程編)プロモーション

以前の記事で、印刷には大きく分けて7つの分野に分かれていることを説明しました。

その印刷産業においてかなりポピュラーな印刷技術なのが「オフセット印刷」。

オフセット印刷という言葉、ひょっとしたらどこかで一度は聞いたことがあるかもしれませんが、印刷のしくみを理解していなければどんなものなのかイメージできないもの。

このオフセット印刷について今回解説したいと思います。

ようちゃん
ようちゃん

前回の記事はこちらをご覧ください。

オフセット印刷とは何か?

オフセット印刷とは刷版に付いたインキを直接版から紙に転写するのではなく、一度ブランケットと呼ばれるゴム製の板にインキを乗せて間接的に転写する方法です。

「オフセット」という言葉はブランケットにインキを付ける(SET)動作とブランケットからインキを離す動作(OFF)から来ています。

オフセット印刷で利用される印刷機にはブランケット、版を巻いてセットする「版胴」、ブランケットと紙を圧着させる「圧胴」という3つの円筒状の部品があります。

これらの部品を回転させて短時間での大量印刷を行います。

オフセット印刷はその特徴から書籍・新聞・パンフレット・ポスター・チラシなど多くの商業印刷で使われています。

なんでブランケットを途中にはさむの?

版胴に直接圧胴を当てて転写し続ける方法は刷版に圧力による傷がつきやすく、同じ刷版で何度も大量印刷する商業印刷には向いていません。

そのため、一度ブランケットに転写して圧胴で押すことで刷版を長く使えるようにしています。

ブランケットにはインキは残らないの?

刷版からブランケットには印刷に使う量のインクしか転移しないため、印刷後に適切にブランケットを拭き取ればインキは残りません。

オフセットに使われる主な刷版の種類

オフセット印刷の刷版において重要なのが「水と油」です。

水性のものと油性のものが混ざらない性質を利用して、油性の印刷インキと湿し水と言われる液体を版に乗せて、画線部と非画線部の境目がくっきり出るようにしています。

オフセット印刷に使われる刷版には主に以下の3つの種類があります。

CTP版

CTPとはコンピューター・トゥ・プレート(Computer To Plate)の略で、PC上で制作された原稿データをプレートセッターとよばれる機械に送って出力することで生成される刷版を用います。

原稿データをフィルムへ現像して刷版に出力させる工程がないので作業工程を短縮できるだけでなく、ドットの変形などを防いで高い品質で印刷できるのも特徴です。

樹脂凸版

光に反応して硬くなる性質のある化合物に、原稿データから作られたネガフィルムを貼って光を当てて生成される刷版です。

凸版印刷は刷版の非画線部を削って画線部の上にインキを乗せる印刷方法で、樹脂凸版はシールやラベルの印刷に使われることが多いです。

水なし刷版

オフセット印刷に使われる湿し水と呼ばれる液体は、化学薬品が含まれているため排水時に環境への悪影響が出る可能性があります。

そこで環境保全の観点から湿し水の代わりにシリコーンゴムを非画線部に乗せた「水なし印刷」が登場し、弊社東洋美術印刷を含め日本でも多くの印刷会社で導入されています。

この水なし印刷に使われる特別な刷版が水なし刷版です。

ようちゃん
ようちゃん

水なし印刷に関してはこちらもご覧ください!

オフセット印刷の歴史

オフセット印刷は「リトグラフ」をもとに発展した印刷技術です。

リトグラフは19世紀にヨーロッパで広く使われた印刷技法で、石材や金属で出来た平版に油性の顔料で描画します。

書き終わったらキャンバス全面に薬品を塗って画線部の親油性と非画線部の親水性を高めます。

インキを版面に塗れば印刷時にきれいに転写できるという仕組みです。

ピカソ、ゴッホ、ムンクなど日本でも知られている当時の画家たちもリトグラフによる絵画作品を残しています。

1840年代には蒸気で動く輪転機が発明され新聞や雑誌の大量印刷に活用され、20世紀初期にリトグラフの技術や輪転機の品質改良などが合わさって、オフセット印刷が誕生しました。

第二次世界大戦後には新聞のオフセット印刷が始まり、現在にいたります。

まとめ

オフセット印刷は大量生産に適した印刷のスタンダード!

今回はオフセット印刷がどのような技法で、どう生まれたのか紹介しました。

オフセット印刷の刷版と紙の間にブランケットをはさむ仕組みのおかげで、版を傷めずに高品質かつ高速で大量印刷ができるようになったんですね。

またオフセット印刷に使われる刷版に複数の種類があるということを今回初めて知った方もいるのではないでしょうか。

分かっていそうで実は知られていないことも多い印刷の世界、またいつかコムデザで紹介したいと思います!

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