小売店や通信販売だけでなくECサイトや自社公式サイト等、販売チャネルが増えるにつれてそれぞれのチャネルで商品を販売する業務負担は大きくなりがちです。
各チャネルで見込み客をきちんと獲得して実績を生み出すには、どのチャネルにも最新の商品情報を提供してあげるよう適宜更新する必要があるためです。
そこで活用できるのが、商品管理を一元的に管理して各チャネルに迅速に提供できる「PIM(商品情報管理)」という仕組みです。
今回はPIMとはどのようなもので、導入すればどんなメリットがあるのか詳しく見ていきます。
PIMは商品の販促・販売活動を効率化する為のシステム
PIMとは「Product Information Management」という言葉の略で、企業が管理する様々なチャネルやプラットフォームの商品情報を一括で管理する仕組みのことです。
ここでいう商品情報は商品の名称や説明文、画像や動画といった様々なデータが含まれており、PIMはこうしたデータをまとめて追加・更新したりできる機能が備わっています。
これにより企業はすべてのチャネルで正確で一貫した商品情報を届けられるため、見込み客に伝えたいことが漏れなく伝わり、見込み客にとっても商品を認知した時と使用した時の認知のギャップが生まれにくくなります。
かつては消費者の意思決定はマスメディアの広告による影響が強く、メーカーは種類を絞って大量に生産してもそれだけ売れていました。
しかし価値観の多様化やネット購入の普及等により、消費行動のパターンが変容し流行が変遷するスパンが短くなっていること等から、より多くの種類を少しずつ生産する企業が増えてきます。
このため、膨大な商品情報を効率的に管理する必要性が高まり、PIMによる「情報のサプライチェーン」を確立する企業が増えてきたのです。
特にアパレル業者や出版業者など複数の販売チャネルに展開する企業の場合、PIMはマルチチャネル戦略で活躍する非常に有意義なシステムだといえます。
PIMと混同しやすい関連用語とその違い
以下の用語はPIMの話題で出やすいので、混同しないよう気を付けましょう。
| PLM (製品ライフサイクル管理) | 製品の開発から処分までの全行程の情報を管理する仕組み |
| PDM (製品データ管理) | 設計図や仕様書など製品の製造データを管理する仕組み |
| PRM (パートナーリレーションシップ マネジメント) | 代理店や販売店等のパートナーと関係を強めて共同で利益追求を目指す仕組み |
PIMの導入が適した企業の4つの主な特徴
① 1,000点以上の商品を取り扱っている
数千~数万もの点数の商品を扱っていると管理する商品情報も膨大になり、商品情報の更新作業だけでも多くの労力を要します。
また機能性が重視される商品だとより専門的な情報を求められやすく、十分な情報を提供できなければ見込み客獲得の可能性も大幅に低くなります。
PIMを導入すれば、最新の商品情報をスムーズに次から次へ登録できます。
② 複数のチャネルで商品を販売している
ECサイトや企業公式アプリなど複数の販売チャネルに展開している場合、商品情報はそれぞれのレギュレーションに準じた表現で掲載する必要があります。
また販売チャネルごとに担当者が異なる場合は、商品情報や購入画面のレイアウト等もバラバラになりやすいです。
PIMを導入すれば一元化された商品情報を、販売チャネルの規則にあわせて適宜表現を変えながら提供できます。
③ 商品の入れ替えやリニューアルが多い
季節ごとに限定モデルを販売する等商品の入れ替えやリニューアルを頻繁に行う場合、商品情報の細やかな入れ替えが必要になります。
PIMを導入すれば商品情報を一括でまとめて更新できるため、一つずつ販売チャネルに行きながら内容を修正する手間もなくなります。
またPIMにはバージョン管理機能があるものもあり、商品情報を昔のものに戻したい時等に便利です。
④ 複数の部門が商品に携わっている
企画部門や製造部門等、様々な部門が商品に関与している場合、各部門が別々に情報管理していることが多いです。
統合された商品情報がなければ、部門間で情報共有がうまくいかず業務効率化の障壁となりかねません。
PIMで統合的に情報管理を行えば、社内全体で商品情報を自由に活用できる環境を実現できます。
PIMを導入することによる6つの主なメリット
① 商品に対する認識のズレを解消できる
PIMシステムはマルチチャネルで商品情報を最新の状態に集約してくれるため、商品情報が不十分なために売り手と買い手の間で商品の認識がズレることも少なくなります。
また部門ごとに異なる商品情報を管理している場合、担当者によって登録する項目の種類が異なったり、表現がバラバラだったりと様々なリスクが生じます。
PIMシステムを導入することで商品情報が統合されるため、社内の人間も均一で正しい商品情報を認知できるようになります。
② 管理担当者の業務負担を軽減できる
PIMシステムで商品情報の登録や更新を効率化することで、業務負担を大きく削減できます。
多言語対応等の機能もあるため、専門的なスキルが必要な作業でも同じくコストをおさえることが可能です。
手間をかけずに最新の商品情報を全ての販売チャネルに共有できることで、見込み客とのコミュニケーション強化やチャネルの効果分析等の作業に充てられるリソースも増やせます。
③ 販売チャネルの拡大につなげられる
PIMシステムはWordPress等のCMS(コンテンツ管理システム)やECサイトと連携させることもできます。
一元的に販売チャネルを管理できるため、従来のように展開しているチャネルの数だけ別々に商品管理を行う必要もありません。
またチャネルの規約等に合わせて商品情報の内容を最適化することで、それぞれのフォーマットに合った形で商品情報を提供できます。
④ ブランドの信頼性維持に貢献できる
PIMは一律に同じ商品情報をアップデートできるため、一部のチャネルで古い情報が表示されたままになっていて誤認につながるといったリスクもなくなります。
どのチャネルのユーザも常に正しく新しい商品情報にアクセスできることで、企業や商品に対して信頼感を与えやすくなります。
そのためPIMのシステムを活用することは、ブランドとしての信頼性を上げられる効果も期待できブランドイメージ維持につながりやすいです。
⑤ 在庫支援や顧客管理をサポートできる
PIMシステムの中には、ERPやCRMのシステムと商品情報を共有して活用できるものもあります。
商品の在庫状況を最適化して余剰在庫の削減につなげる、顧客の購入サイクルを可視化してプロファイリングに活かすといったことにもPIMが役立てられます。
PIMとの連携によって供給予測や顧客のニーズといったデータの視覚化ができるようになれば、より効率的なプロモーション戦略につなげられるでしょう。
⑥ カタログや販促ツールの制作を効率化できる
PIMシステムはデジタルチャネルだけでなく、紙媒体のカタログやパンフレットといった販促ツールの制作の効率化にも役立ちます。
従来の制作作業では最新の情報や画像を人力で調べて原稿に入れ込む必要がありました。
PIMをDTPや自動組版システム等と組み合わせることで、一元管理された商品情報を直接原稿に反映させることができ、製作コストを削減しながら情報の正確性も高められます。
PIMを導入して業務効率化に成功した4つの事例
① 某スポーツ用品メーカーの導入事例
某大手スポーツ用品メーカーでは、競技用具やスポーツ用アパレル等数十万点にも上る商品を展開しており、部門や拠点ごとに商品を管理していたため各販売チャネルの運用が大きな課題でした。
特にグローバル展開していた同社にとって、国内外で統一された販売チャネルの実現はブランド力の維持に不可欠となっていました。
そこで同社はPIMシステムを導入し、特定の種類の商品やチャネルを順番に対応させました。
その後PIMの本格的な稼働により、世界中の拠点で商品情報を共有できるようになりグループ全体で商品情報の管理業務の手間が大きく削減、余力をマーケティングやPR等の活動にあてられるようになりました。
② 某大手食品メーカーの導入事例
大豆加工品等で知られる某食品メーカーでは、商品情報の一元化とガバナンス強化を目的としたPIMシステムの導入を行いました。
同社では決済用の商品マスタ基幹システム等はありましたが、販促や営業に使える商品情報のシステムはなく、営業担当者が各自で商品情報をまとめる必要がありました。
属人化された商品情報を統合させるため、同社はPIMシステムを導入して従来の基幹システムや外部のWebアプリケーションと連携させました。
またPIMに対する社内の理解を高めるため、作業時間の削減等PIMを導入することによる具体的な効果を提示するといったことも行っています。
③ 某インテリア雑貨小売チェーンの導入事例
家具や生活雑貨を提供する某インテリア小売チェーンでは、OMO(オンラインとオフラインの融合)実現に向けて商品台帳システムの刷新が課題となっていました。
より効率的で柔軟な対応を可能とした商品台帳システムを構築するため、同社はPIMシステムを導入しました。
システムには年間6,000種類もの商品が登録されるようになり、PIM導入以前のものも含めて数十万の商品情報やアセットも一元管理されるようになりました。
これにより同社のほぼ全ての社員が商品情報を参照できるようになり、店舗従業員を中心に発注や販売などの業務の効率を飛躍的に向上させることができました。
④ 某電子機器メーカーの導入事例
電子顕微鏡等の精密機器や電子機器を製造する某大手メーカーは、顧客満足度向上と社内業務効率化に向けたアフターサービスシステムの刷新を実施しました。
同社の商品は医療用、半導体製造用、自動車製造用等様々な市場分野にわたっていますが、商品情報が紙媒体中心だったために更新性や検索性が不十分で、膨大な商品の管理が大きな負担となっていました。
そこで同社はPIMシステムを導入することで、4万点以上におよぶ商品情報を一括で管理し、各販売チャネルに最新の情報を実現させることに成功しました。
同社では海外での売上が高い商品も多く、PIMシステムにより現地法人と商品情報を共有しながらグローバル対応の強化を行っています。
PIMシステムで販売チャネルの運用がスムーズに
PIM(商品情報管理)システムは、ECサイトや公式サイト等の販売チャネルに掲載されている商品情報を一括で管理することで、一元的に新規追加や更新ができる仕組みです。
小売業や製造業など数千数万もの商品を取り扱っていてなおかつ複数の販売チャネルを持っている企業にとっては、日常的なチャネル運用の業務負担を大幅に減らすことができます。
更に常に新しい情報を各販売チャネルに提供することで、見込み客に正しく商品の特徴や魅力が伝わりやすくなり商品に対する関心も持ってもらいやすくなります。
業者側にも見込み客側にもメリットが大きいPIM、販売管理の業務に面倒さを感じている方は一度調べてみるのもおすすめです。
製造業の「伝わらない」を解決し、企業価値を高めるために
PIM(商品情報管理)システムによる情報の一元化と効率化は、製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する大きな一歩となります。
しかし、情報を整理するだけでなく、その製品や技術が持つ価値を「どのように顧客や市場に届けるか」というコミュニケーションの設計もまた、製造業にとって重要な課題です。
当社の「製造業ソリューション」では、複雑な製品情報や技術資料のDX支援はもちろん、ブランドの価値を最大化するブランディングや販促支援、さらには技術継承や採用支援まで、モノづくり企業が抱える「伝わらない」という課題をトータルで解決します。
「製品の強みがうまく伝わらない」「マーケティングのノウハウが不足している」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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