現代のBtoBマーケティングは、複雑さと変化の波に乗り続ける航海のようなもの。
購買プロセスの長期化、意思決定に関わるステークホルダーの多様化、デジタルチャネルの爆発的な増加など、マーケティング担当者の皆様は前例のない課題に直面し、日々頭を悩ませているのではないでしょうか。
このような状況下で、企業が持続的な成長を遂げるには、顧客である企業を深く理解し、最適なコミュニケーションを図ることが不可欠です。
そのための強力な羅針盤となるのが「カスタマージャーニーマップ」です。
BtoBマーケティングが抱える特有の難しさ
BtoBマーケティングは、BtoC(消費者向け)マーケティングとは異なる、特有の以下のような課題があります。
BtoBマーケティングの複雑な購買プロセス
複数の部門や役職の担当者が購買に関与し、それぞれのニーズや評価基準が異なるので、意思決定プロセスが複雑になります。
また、購買に関わる関係者間の合意形成が不可欠であり、調整にも時間がかかります。
BtoBマーケティングにおける長期的な購買検討期間
高額な製品やサービスが多く、慎重な検討が必要となるため、検討期間が長期化する傾向にあります。
感情より論理が求められるBtoBの合理的な意思決定
感情よりも、ROI(投資対効果)や費用対効果などの合理性が重視されるので、論理的な説明が求められます。
これらの要因により、BtoBマーケティングでは、顧客企業の購買行動を正確に把握し、関係者全員に響くような戦略を立案が非常に難しいのです。

こちらの記事もおすすめです!
なぜBtoBマーケティングでカスタマージャーニーマップが必要なのか?
BtoBマーケティングにおける様々な課題を解決する強力なツールとして、カスタマージャーニーマップが挙げられます。
カスタマージャーニーマップとは、顧客(企業)が特定の目標を達成するためのあらゆる接点(タッチポイント)を通じて経験するプロセス全体を、顧客視点から可視化したものです。
顧客の行動、思考、感情を時系列に沿って描き出すことで、顧客体験(CX)を理解し、改善するためのフレームワークとなります 。
顧客企業の購買プロセスを可視化することにより、顧客の視点に立ち、その経験を深く理解することにつながります。
顧客の行動全体像を可視化することで、マーケティング、営業、カスタマーサクセスといった顧客に関わる各部門が共通の顧客理解を持つことが可能になります。
部門間の連携が強化され、一貫性のある優れた顧客体験の提供へとつながります。
また、カスタマージャーニーマップは、顧客体験における潜在的な課題や改善点を見つけ出すための基盤となり、具体的な施策を計画する上で非常に役立ちます。
このように、カスタマージャーニーマップは、BtoBマーケティングを本質的に「顧客中心」へと変革し、より効果的なマーケティング戦略を実行するための強力な羅針盤となるのです。
カスタマージャーニーマップが役立つ4つの場面
カスタマージャーニーマップは、BtoBマーケティングの様々な場面で活用できます。
顧客ニーズ起点の効果的なマーケティング戦略立案
ターゲット顧客のニーズや課題に基づいて、最適なコンテンツやコミュニケーションチャネルを選定します。
顧客段階に合わせた営業活動の効率化
顧客の購買段階に合わせて、適切な情報提供や提案を行うことで、成約率を高めます。
LTV最大化のための顧客満足度向上
顧客が抱える不満や課題を特定し、改善することで、顧客ロイヤルティを高めます。
顧客の声を反映した価値ある製品開発プロセスの実現
顧客のニーズや利用状況を分析し、より価値の高い製品やサービスを開発します。
カスタマージャーニーマップの歴史と最適化
カスタマージャーニーの原型となる考え方は、顧客の行動や心理プロセスを理解しようとする試みと共に古くから存在していましたが、具体的なフレームワークとして注目され始めたのは1998年頃とされています。
元々のカスタマージャーニーは、注意(Attention)、関心(Interest)、欲求(Desire)、記憶(Memory)、行動(Action)の5つのステップを進む漏斗型のマーケティングファネルを表すAIDMAの概念が基になっており、BtoC(消費者向け)の文脈で活用されていました。
しかし、市場の成熟化、競争の激化、そしてインターネットの普及とデジタル技術の進展により顧客体験の重要性が認識されるにつれて、BtoBマーケティングにおいてもカスタマージャーニーマップの活用が広がりました。
BtoB向けカスタマージャーニーマップを構成する要素とは?
BtoBにおけるカスタマージャーニーマップは、企業が顧客の体験全体を深く理解し、質の高い関係性を構築するための戦略的な可視化ツールです。
マップを作成するにあたり、まず中心となるのは具体的な顧客像である「ペルソナ」の設定です。
このペルソナが業務上の課題を抱き、情報を収集し、比較検討を行い、購入を決定し、さらには長期的な関係へと至る一連の「顧客のステージ」を時間軸として横軸に配置します。
次に、これらの各ステージにおいて、ペルソナが具体的にどのような「行動」を取り、その時々で何を「思考」し、どのような「感情」を抱くのかを、縦軸の要素として詳細に描き出していきます。
このプロセスを通じて、顧客が企業と接触するあらゆる「タッチポイント」が明確になり、顧客が直面する可能性のある「課題や障壁」、つまり顧客体験を損ねかねないボトルネックも浮き彫りになります。
ペルソナやカスタマージャーニーマップの作成方法やテンプレートをまとめた資料は以下からダウンロードできます。
![]() | 【テンプレート付】顧客体験を可視化! BtoB企業のカスタマージャーニーマップ作成ガイド BtoBの複雑な購買プロセスを可視化し、顧客企業のニーズや課題に沿った最適なコミュニケーション戦略を構築するための「カスタマージャーニーマップ」について、その重要性から作成ステップ、活用テンプレートまでを網羅的に解説しています。 |
カスタマージャーニーマップでBtoBマーケティングを成功に導く
BtoBマーケティングのご担当者は、その複雑さと変化に多くの課題を抱えていると思います。
カスタマージャーニーマップを活用することで、顧客理解を深め、効果的な戦略を立案する一助になれば幸いです。
東洋美術印刷では、カスタマージャーニーマップの作成のお手伝いから、カスタマージャーニーマップで浮き彫りになった顧客とのコミュニケーション課題へのご提案も行います。
是非お気軽にご相談ください。