色覚多様性への配慮 −P型、D型色覚のシミュレーションをお馴染みのソフトで実行−

色覚多様性への配慮 −P型、D型色覚のシミュレーションをお馴染みのソフトで実行−SDGs

色覚多様性

東洋美術印刷株式会社の営業・デザイナー・オペレーターは、情報をわかりやすく伝えるスキルを身に付けるために、UCDA(一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会)の資格を取るよう推奨されています。

そのために学習する題材の一つがカラーユニバーサルデザインです。

カラーユニバーサルデザインは、色覚多様性に配慮したデザインです。

以下、色覚多様性について学んだ事を簡単にまとめてみます。

 

ヒトの光を認識する視細胞には、赤・緑・青の光をそれぞれ感じる錐体と呼ばれるものがあり、光(色)を感じる度合いの違いで錐体は様々な色を識別しています。

3種類の錐体全てが揃っている色覚をC型と呼び、割合が一番多いです。

赤の錐体に変異がある色覚をP型、緑をD型、青をT型と呼びます。

また、錐体を1種類しか持たない、あるいは錐体が全く無い色覚はA型と呼び、色を明暗でしか感じることができません。

P型、D型色覚を持つ人を合わせると、日本人男性の20人に1人、女性の500人に1人の割合と珍しい色覚ではありませんが、T型、A型色覚の割合はごく少ないです。

P型、D型色覚は赤と緑を識別しづらく、紫から青の範囲の色がほぼ同じ色に見える、という点で、色の見え方が似た色覚になります。

P型色覚とD型色覚の大きな違いは、P型色覚は濃い赤が黒に見える事です。

ヒトの色覚タイプ

  • C型(Common)  3種の錐体が揃っている(一般的)
  • P型(Protanope)  赤の錐体に変異がある(色弱の約25%)
  • D型(Deuteranope)緑の錐体に変異がある(色弱の約75%)
  • T型(Tritanope)  青の錐体に変異がある(ごく少数)
  • A型(Acromatic)  錐体が1種類 または全くない(ごく少数)

C型色覚の割合は日本人男性の約95%、女性の99%以上
C型以外の色覚の割合は日本人男性のほぼ5%
P型色覚とD型色覚の見え方は似ている

※ P型、D型、T型等はNPO法人CUDO(カラーユニバーサルデザイン機構)が提案している呼称。
  1型、2型、3型という日本眼科学会で定めた呼称もあります。

 

【コラム】青色は第一候補

当社では保険会社樣より「しおり・約款」のお仕事を多くいただいています。

その中の案件で「黒」と「各商品イメージの特色」を使った2色刷りの特色のほうを、色覚多様性に配慮するため、全て「明るい青色」に統一した事がありました。

「青色」というのは、上で述べているように、合わせると色弱のほとんどの割合を占めるP型、D型色覚者とC型(一般)色覚者との見え方に相違が少ないので、色覚多様性に配慮をして使用する色として第一候補になるのかもしれません。

 

見分けづらい色の組合せ

色覚多様性に配慮した印刷物等の作成をする場合、隣り合った色面に明度差をつける、境目に境界線をつける、といった配慮の仕方はC型(一般)色覚者にも分かりやすいと思います。

その配慮はC型色覚者にとっても見やすいものになるからです。

しかし、C型色覚者には見分けしやすくても、P型、D型色覚者には見分けしづらい色の組合せがあり、それを避ける配慮はC型色覚者には分かりづらいのではないでしょうか。

下の図はそのような組合せを意図的に作ったものです。

左側は元の画像で、右側はP型色覚者が左側の画像を見たときの見え方をC型色覚者が想像できるようシミュレートしたものです。※

C型色覚者の色の見え方のシミュレーション

(※)疑似的な変換であり、実際のP型色覚の見え方とイコールではありません。
根本的に、同じP型色覚でも強度・弱度があり、その中でも違いがあり、皆が同じ見え方ではありません。

 

Illustrator、Photoshopでもシミュレーションできる

色覚多様性に配慮した印刷物等を作成するために、一番良い方法は色弱者によるチェックですが、全ての作成物にそれを行うのは現実的ではありません。

実際にはC型色覚者用として用意した画像を、P型・D型色覚者の見え方に色を変換するシミュレーションソフト等でチェックする事が多いと思います。

検索すると無料で使用できるPC版、スマートフォン版のアプリケーションやソフトウェア、webページが見つかります。

また新たにそのようなツールを探さなくても、Adobeの定番ソフトウェアのIllustrator、Photoshopにもシミュレーション機能※があります。

(※)疑似的な変換であり、実際のP型色覚の見え方とイコールではありません。
根本的に、同じP型色覚でも強度・弱度があり、その中でも違いがあり、皆が同じ見え方ではありません。

Illustrator、Photoshopともに「メニュー/表示/校正設定/P型色覚またはD型色覚を選択」でP型もしくはD型色覚の見え方のシミュレーションができます。

 

まとめ

グラフや表、地図などイメージや雰囲気ではなく正確な情報の伝達が必要なものを作成する場合は特に、全ての方に分かりやすいものを目指して作成すべきだと思います。

IllustratorやPhotoshopはDTP、Web作成等に携わる方の多くが使用されていますので、色覚シミュレーション機能を活用されてみてはいかがでしょうか。

 

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