CSVとCSRの違いとは?利益に繋がるCSV経営や事例について解説

CSVとCSRの違いとは?利益に繋がるCSV経営や事例について解説SDGs

2015年9月に国連本部で開催されたサミットにてSDGs(持続可能な開発目標)が全会一致で採択され、持続可能でよりよい世界を目指すためのさまざまな目標が設定されました。

SDGsの実現のために、企業レベルで取り組める評価基準がCSV(共有価値の創造)やCSR(企業の社会的責任)です。

この記事ではCSVとCSRの考え方の違いや、経営面でのメリット・デメリット、導入するまでの流れを事例付きで解説します。

CSVとCSRの違いは「企業の責任を果たす」か「新たな価値を創造する」か

環境問題への意識の高まりを受けて、消費者は企業やブランドを選ぶ際に社会貢献への姿勢を重視するようになりました。

その評価基準がCSV(共有価値の創造)やCSR(企業の社会的責任)です。

CSV(共有価値の創造)社会的課題を事業化することで、新たな社会的価値を創り出し、
事業価値や競争力を確立するという考え方。
CSR(企業の社会的責任)国際基準に基づいて企業の社会的責任を果たし、
持続可能な社会の実現に貢献するという考え方。

これまで企業の社会貢献はCSRがメインでしたが、近年は企業に課せられた社会的責任を果たすだけでなく、本業の強みを活かして新たな社会的価値を戦略的に展開し、競争優位性を生み出すCSVに取り組む企業も見られます。

 

CSV経営のメリットは「利益と企業イメージの両立」

CSVの理念に基づき、本業を通じて社会的課題を事業化することを「CSV経営」と呼びます。

CSVはCVRと同様、消費者にとっての企業イメージを高めてブランディングの面で競合他社に差をつけられます。

しかし、CSRは社会的責任と経済効果の両立が難しいのに対して、CSVは本業の強みを活かして利益を生み出すことが可能です。

たとえばキリンホールディングスは地域農業の振興という社会的課題に取り組んだ結果、原料生産の品質向上と安定調達を実現しています。[注1]

ただし、CSV経営は社会的課題の事業化が前提条件であるため、1社のみの力ではコストやリソースの面で実現が難しいというデメリットもあります。

キリンホールディングスの事例のように地域コミュニティや他の事業者との連携により、協業によって新たな社会的価値を創り出すことが大切です。

 

CSVを経営に取り入れるまでの流れ

CSVの実践方法として、アメリカの経営学者マイケル・ポーターが提唱したアプローチが広く知られています。

CSVを経営に取り入れるまでの流れは次の通りです。

  1. 文字の大きさは通常より自社の製品と市場を見直すことで、自社の強みを活かしながら解決できそうな社会的課題を探す。
  2. バリューチェーン(購買・物流・製造・サービスなど、価値を生み出すまでの流れを整理したもの)を再検討し、生産性を高めることで社会的価値を生み出せないか考える。
  3. 地域コミュニティとの連携や他の事業者との提携やインフラの開発などにより、地域の強みを活かす産業クラスターを生み出す。

 

CSV経営の取り組み事例を紹介!

CSV経営の取り組み事例として、2つ事例をご紹介いたします。

① 水の再利用で持続可能な社会の実現に貢献したネスレ

ネスレは「水を大切に使う」をスローガンにかかげ、自社のバリューチェーン全体を再検討しました。

たとえば、牛乳の濃縮工程で使用する水を再利用する仕組みをつくることで、水の保全意識を高めて環境負荷を低減することに成功しました。

結果として、貴重な資源である水の利用効率を改善できて事業全体の持続可能性が高まりました。[注2]

 

② 農家の社会的課題の解決を通じて原料生産を安定化した伊藤園

農業分野では農家の安定的な収入の確保や生産技術の教育・伝承といった課題が存在します。

伊藤園は農家と包括的な契約を結ぶことで、契約農家が生産した茶葉を全て購入する仕組みをつくりました。

その結果、農家が安定的な収入を得られるようになっただけでなく原料生産の安定化にもつながりました。[注3]

 

まとめ

社会的課題を事業化し、CSV経営で利益を生み出そう

CSV経営とは、新たな社会的価値を創り出すことを通じて、事業価値や競争力を確立することを指します。

自社の強みを活かして社会的課題を事業化することで、CSRと異なり利益を生み出すことも可能です。

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関連リンク

[注1] キリンホールディングス|地域社会・コミュニティ
[注2] ネスレ|大幅な水削減: 水道の蛇口を締めて水を使わなくなった工場
[注3] 伊藤園|契約栽培

 

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丸山博司
丸山博司
マーケティング&営業本部長 兼マーケティング部長 1995年に東洋美術印刷株式会社入社。営業職を経て2016年からマーケティングマネージャーとして従事。UCDA認定1級資格を保有し、「わかりやすい情報提供」のコンサルティングも行っている。

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