エコな印刷を実現する上で気を付けたいこと(印刷と産業廃棄物編)

エコな印刷を実現する上で気を付けたいこと(印刷と産業廃棄物編)SDGs

冊子や書籍を印刷したときの過程で出た印刷用紙の切れ端や印刷インキの空き容器などといったごみは、産業廃棄物として処理されています。

ただ今はサステナビリティや環境保護の考えが普及している時代、ごみもただ廃棄したらそれで終わりではありません。

使えるところはできるだけリサイクルされて、残ったごみもできるだけ環境への影響が出ない形で処分されます。

今回は印刷における産業廃棄物の扱いについて解説していきます。

印刷で出る産業廃棄物はどんなものがある?

印刷の過程で出る主な産業廃棄物には、以下のものがあります。

① 印刷物の余剰分などインキを含んだ用紙 「廃油、紙くず」
② 印刷くず、製本くず、裁断くず     「紙くず」
③ 廃インキ               「液状→廃油 固形状→廃プラスチック類」
④ 定着液・現像液            「廃酸、廃アルカリ」
⑤ 印刷機材を洗浄した水やウエス     「廃油」
⑥ パレット               「木製のもの→木くず
                     プラスチック製のもの→廃プラスチック類」
⑦ 廃フィルム              「廃プラスチック類」
⑧ P.P.バンド              「廃プラスチック類」

産業廃棄物には廃棄物処理法で定められている20種類の廃棄物が含まれており、資格を持つ専門の業者に委託して適切な方法で処分してもらうよう義務付けられています。

中でも有毒性や爆発性など人体に害が及ぶ危険性が高い産業廃棄物は「特別管理産業廃棄物」としてより厳重に処分しないといけません。

特別管理産業廃棄物には廃油・廃酸・廃アルカリ・感染性のある廃棄物・アスベストや水銀などの特定有害産業廃棄物の5種類があり、管理から最終処分までの各プロセスで環境省による厳しい規定が設けられています。

産業廃棄物の発生量をおさえる

令和3年度の環境省の「産業廃棄物の排出及び処理状況」によると日本全体で産業廃棄物として出された紙くずの量は1年間で84.4万トン。

このうち印刷業では11.3万トンもの紙くずが出ていると推定されています。

印刷産業における紙くずの発生量はペーパーレス化やDXなどにより着々と減っていて、平成14年度の推定75.5万トンと比べて大分少ないことがわかります。

当社東洋美術印刷でも、必要な分だけ印刷できる小ロット印刷をCSIなどにより手がけることで無駄な余剰分を発生させずに紙類の廃棄物削減へ努めています。

「CSIについてはこちらの記事もご覧ください!」

また印刷業における産業廃棄物で紙くずよりも多く発生しているのが廃プラスチック類で、令和3年度には13.3万トンも廃棄されていると推定されています。

平成14年度の印刷業における廃プラスチック類発生量が推定12.5万トンなので少し増えてしまっています。

フィルム印刷などプラスチックを用いた印刷方法で廃棄物が発生しやすい状況を受け、あらゆる印刷会社では石油由来の材料を使わないフィルム印刷の開発が進められています。

産業廃棄物のリサイクル方法

徹底的な削減を心がけても、印刷業務を営む以上はある程度の産業廃棄物は発生してしまいます。

どうしても出てしまう産業廃棄物はできる限りリサイクルを行ったあとで処分することで、環境への影響を最小限にとどめています。

紙くずのリサイクル

紙くずは専ら物(「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物または一般廃棄物」の略)に該当するため、リサイクル事業を営む専門業者に処分を委託できます。

回収された古紙や紙くずがリサイクルに使えるかどうかは、一般社団法人 日本印刷産業連合会が定める「古紙リサイクル適性ランク」というもので判断されます。

これは使われている紙質やインキなどを再生処理を阻害しないかA~Dの4つのランクで評価するもので、紙くずに使用された材料が全てAランクのものであれば、もう一度印刷用紙として再生されて、全てAもしくはBランクになったものは段ボールやトイレットペーパーなどの材料に使われます。

一方で食品かすや汚れのついた紙類、レシートなどカップ麺の蓋など特殊加工されている紙類などは、古紙や紙製品の材料としては使えないため焼却したのち燃えかすを埋め立てて処分します。

近年では焼却される紙くずを廃プラスチック類などと混ぜ合わせたRPF(Refuse Paper and Plastic Fuel)という固形燃料が登場し、焼却時のコントロールのしやすさや燃料としてのエネルギーの高さから新たなエネルギー源として注目を浴びています。

他の産業廃棄物のリサイクル

産業廃棄物として回収された廃プラスチック類は、約6割が先述したRPFなどの燃料としてリサイクル(サーマルリサイクル)されます。

約2割が公園のベンチなど別のプラスチック製品の材料としてリサイクル(マテリアルリサイクル)されて、約0.5割は化学的に分解してほかの物質を生成する形でリサイクル(ケミカルリサイクル)されています。

また廃酸は金属の錆を落とすための酸洗浄用の薬品として、廃アルカリは化学肥料や中和処理を行った後でセメントの原料としてリサイクルされています。

まとめ

印刷業界でも廃棄物の削減やリサイクルが進められている

印刷業界では紙くずやプラスチックくずなどの産業廃棄物が大量に発生します。

環境保護への意識が高まっていくにつれて、紙くずの発生量は現在まで大幅に削減されました。

脱プラスチックの動きが将来的に高まれば、廃プラスチックの発生量も今後削減されるかもしれません。

またどうしても出てしまう紙くずやプラスチックくずはリサイクルされて再び紙やプラスチックとして生まれ変わったり、焼却するときにエネルギー源として活用したりされています。

かつては印刷産業に対して森林伐採・大気汚染・水質汚濁など環境に悪いイメージを持っていた人もいたかもしれませんが、こうして見ると今はかなり環境に配慮して事業を展開しているのが見えてきますね。

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