地球にもヒトにもめちゃ優しい!「バナナペーパー」の魅力とは

地球にもヒトにもめちゃ優しい!「バナナペーパー」の魅力とはSDGs

「バナナって食べる以外にも使い道があるの!?」

普段何気なく食べているバナナから、紙がつくれるのって知ってましたか。

その名も「バナナペーパー」!…とはいえどういうものかイメージできないですよね。

でも実は今話題のSDGsの考えにピッタリな最強の紙なんです。

今回はバナナペーパーがどういうものでどういう風に作られているか、どのようなところがSDGsの目標にあっているのか、記事にいたしました。

ようちゃん
ようちゃん

SDGsの目標に関しては、こちらの記事も見てね!

バナナペーパーは優しさあふれる新時代の紙!

バナナペーパーはバナナの茎の繊維に、古紙やパルプを混ぜ合わせてつくられた紙です。

日本生まれの紙で、福井の伝統的な越前和紙の手すき技術を応用して考案されました。

実はバナナの果実は一本の茎から一度しかみのらず、果実を収穫したら次の茎に栄養が渡るため、古い茎を切らなければなりません。

今までゴミとして扱われていた茎を、紙の原料として有効活用できる画期的な発明品ですね。

実際にバナナペーパーは「ワンプラネットペーパー」という名前で流通されていて、開発元である「ワンプラネット・ペーパー協議会」には国内の多くの紙メーカーや印刷会社が会員として参加しています。[注1]

 

バナナペーパーはどうやって作られてる?

バナナペーパー「ワンプラネットペーパー」の原料は、アフリカ南部に位置するザンビア共和国のエンフエ村という小さな村で生産されています。

ザンビア共和国の位置
ザンビア共和国の位置(赤色部)
白地図専門店さまの画像を使わせていただきました!)

まずは農薬栽培や児童労働をしていないなどの条件をクリアした45軒の契約農家が、オーガニックのバナナを栽培。

収穫したあとの茎は、エンフエ村の工場(グリーンファクトリー)に収集されて村民たちの手で繊維状に。

その後日本へと運ばれて、リサイクルされた古紙やパルプと混ぜ合わせます。

均一の厚さにそろえてカットすれば、バナナペーパーができあがるんですね。

ここからはSDGsの目標と照らし合わせて、バナナペーパーの良さを見ていきましょう。

 

バナナペーパーのヒトへのメリット

バナナペーパーはSDGsの社会的な目標に対して、以下のメリットがあります。

・「貧困をなくそう」「働きがいも経済成長も」

プロジェクトではバナナペーパーの利益の一部を子どもへの教育支援にあてています。

2019年には村ではじめて大学に進学した者が出るまでになりました。

 

・「平和と公正をすべての人に」

エンフエ村では児童労働が禁止されて、子どもの平和が保たれています。

またバナナペーパーは日本で初めてのWFTO認証(世界フェアトレード認証)を紙製品として取得した製品。[注2]

フェアトレードの概念に基づいて、現地住民中心の新しい産業が根付き始めています。

 

・「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」

工場内では、村民に食料とマラリアの予防接種を無償で提供しています。

その他にも急病人やけが人を診療所に安全に搬送できる仕組みを整えたことや、住民の所得向上で食料品や医療品が購入できるようになったことで、村民の福祉面の質も高まりました。

 

・「質の高い教育をみんなに」

プロジェクトではバナナペーパーの利益の一部を子どもへの教育支援にあてています。

2019年には村ではじめて大学に進学した者が出るまでになりました。

 

・「ジェンダー平等を実現しよう」

工場で働く人のほぼ半分が女性。

シングルマザーや元HIV患者など社会的弱者も積極的に雇用し、女性の社会進出を促すことで誰もが平等に働ける環境を目指しています。

 

・「安全な水とトイレを世界中に」

工場では敷地内に村民が安全な水を確保できる井戸が設置されています。

この井戸で村民は年間50万リットルのきれいな水にアクセスできるようになりました。

 

・「人や国の不平等をなくそう」

ザンビアは色んな民族、宗教が混ざりあう多民族国家。

グリーンファクトリーもあらゆる背景の人材を雇用し、ともに結束して日々働いています。

 

・「パートナーシップで目標を達成しよう」

日本の伝統的な技術を生かして、ザンビアの社会や自然を保護することで両国の交流関係を築きつつ目標達成に向かっています。

 

バナナペーパーの環境へのメリット

バナナペーパーはSDGsの環境的な目標に対して、以下のメリットがあります。

・「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」

工場で使われている電気は、ソーラーと水力の再生可能エネルギーでまかなわれています。

ほかにも生ゴミを処理して出たバイオガスを発電やガス供給に役立てて、クリーンなエネルギーを自作できるようにしています。

 

・「住み続けられるまちづくりを」

工場の敷地に植林して、村の緑を増やす活動もおこなっています。

また村民たちに夜間の照明としてろうそくの代替品として太陽光パネルとソーラーランプ家に設置。

ろうそくの煙や火によるリスクから村民を守っています。

 

・「つくる責任つかう責任」

バナナペーパーのもとになった和紙は、洋紙よりも水や電気を使わずに製造できます。

ほかにもリサイクル古紙を再利用して廃棄物の削減につとめるなど、すみずみまで環境に配慮してこだわることで、環境や社会に責任のある紙づくりができます。

 

・「産業と技術革新の基盤をつくろう」

バナナの木は1年ほどで新たな茎から果実が実ります。

スギやヒノキなどの従来の木材は加工できるほど成長するのに30年以上はかかるので、より成長の早いバナナを植えれば、地元住民が効率よく紙を作れる環境を整えることになります。[注3]

 

・「気候変動に具体的な対策を」

1990年からの30年間で、日本の4倍近くもの面積の森林が消失してしまいました。[注4]

CO2を吸収してきた森林も焼畑などで焼失すれば、逆に大量のCO2を生み出すことになります。

ワンプラネットペーパーでは、バナナペーパーの原料にFSC認証制度を受けたパルプを使用。このFSC森林認証は環境のことを考えて適切に管理された森林から生み出された木材であるという証なんです。

ようちゃん
ようちゃん

FSC森林認証に関しては、こちらの記事も見てね!

他にも現地の資材を利用することで、車両での輸送によるCO2の発生をおさえています。

 

・「海の豊かさを守ろう」

紙の生産には通常、化学物質が必要です。

しかし、バナナペーパーは一切化学物質を使わずにつくれるため、廃水による水質汚染のリスクもなくなります。

 

・「陸の豊かさも守ろう」

エンフエ村では、かつて収入獲得のために密猟や森林の違法伐採が行われていました。

しかしこれらの違法行為も、村民たちにバナナペーパー作りという新たな職が提供されたことで少なくなり、結果として野生動物の生態系を保護することにつながりました。

実際にザンビア国内で密猟などで減り続けた象の生息数が、2021年には増えています。

さらにバナナペーパーはオーガニックなので、使い終わって廃棄されてもそのまま土に還って分解されます。

 

バナナペーパーはどんなものに使われてる?

日本国内でバナナペーパーを加工して販売・配布している事例は結構多いんです。

【主な利用事例】

  • 大判紙・カット紙
  • 名刺・ポストカード
  • 文房具
  • 封筒・包装紙・紙袋
  • 卒業証書(東京芸術大学)
  • カレンダー(国連ハビタット)

1931年創業の老舗紙製品メーカー、株式会社山櫻さんでも賞状や洋封筒などバナナペーパーを使った様々な商品が展開されています。

 

まとめ

バナナペーパーは日本の和紙技術を応用して生まれた、SDGsの全ての目標到達に貢献する画期的な発明品です。

成長が早く食料にもなるバナナの副産物を紙にすることで、飢えや貧しさをカバーできるのはすばらしい発想といえます。

現在、バナナは世界100ヶ国以上で栽培されているため、今後もバナナペーパーの取り組みが普及していけばいいですね。

 

関連リンク

[注1] ワンプラネット・ペーパー®協議会
[注2] World Fair Trade Organization | Japan
[注3] 関東森林管理局:森林を育てる
[注4] 日本経済新聞:森林焼失、日本国土の5倍 過去30年間、国連報告

 

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