地方銀行が生き残るにはやはり「DX」が必要?

地方銀行が生き残るにはやはり「DX」が必要?プロモーション

地方の都市に行くと、「〇〇銀行」「××信用金庫」といった地元ローカルの金融機関の店舗やATMをよく見かけます。

特に地方銀行は全ての都道府県に存在しており、バブル崩壊後に多くの都市銀行が統合してメガバンクになったのに比べて、地方銀行は地域経済の要としてそれぞれの営業エリアでたくましく生き残ってきました。

しかし他の多くの業界と同じように金融業界、特に小規模な地方銀行ほど生き残りのためのDX推進が近年必要となってきています。

今回は地方銀行のDXについて、成功事例も交えて解説いたします。

地方銀行がDXを推進すべき理由

業務を効率化して負担を減らせる

地方銀行には支店の統廃合や人員削減などによる経費削減の結果、銀行員の一人当たりの業務量が増えてしまって、営業効率がかえって悪くなってしまったというケースがたびたび見受けられます。

少ない人数で業務をうまくこなすようにするには、業務の効率化が必須でさらにいえばDXが効率化に大いに役立つのです。

例えば複数の場所で膨大な量の書類を保管していた場合、クラウド上にまとめてデータとして移管することで管理の手間をかなり減らすことができます。

このように業務にかけている時間を短縮することで、その分顧客の対応にあてられる時間も増やせるため、結果として顧客満足度や顧客獲得率の向上などにもつなげられます。

システム老朽化のリスクを無くせる

地方銀行は何十年も前からオンラインシステムを導入しているところが多いため、既存のシステムが老朽化してしまっているところも少なくありません。

老朽化したシステムには古いプログラム言語が使われていたり、当時の担当者しか扱えない複雑な構造で組まれていたりとスムーズな運用を妨げる要因がいくつもあげられます。

さらに新しくセキュリティー対策を施すのも難しいため、システムが老朽化すると情報漏洩のリスクも高くなります。

システム老朽化により運用の手間が増えることで、運用コストもその分かかってしまいます。

「2025年の崖」の問題でも、2025年までにDXを行わなかった場合、システムの老朽化で数兆円単位の経済損失が予想されています。

顧客との接点を設けられる

ほぼ全ての国民がスマートフォンを持つといわれている現在、多くの都市銀行・地方銀行でもWEB上での口座開設手続きに対応しています。

りそな銀行が2022年に行った調査によれば、直近6ヵ月以内に口座開設した方の5割がスマホアプリかWEBサイトを使って手続きを行ったと回答しています。[注1]

このことからも地方銀行が顧客を新しく持つためには、アプリや公式サイトなどのWEBコンテンツを持つことが最低条件といえます。

もちろん、ただコンテンツを整備するだけでなくユーザーが使いやすいようシステム設計をデザインしてあげることなども重要です。

DXに成功した地方銀行の事例

① 北國銀行

石川県を中心に北陸全域に展開している北國銀行は、先進的な取り組みが評価されている地方銀行として知られています。

北國銀行では2011年にクラウドサービスを導入するなど、DXの概念が広まるかなり前からDX実施に向けた取り組みを行っています。

また専門業者などへの外部委託が多い金融業界のDXにおいて、同行は2015年ごろより次々とシステムの内製化に成功、北國銀行の経営戦略の要としてふさわしい高性能なシステムを構築させています。

業務にかかる手間暇をできるだけ減らしてお客様と応対できる余裕を生み出して、顧客起点の営業を行うことが北國銀行のDXの目的。

今年の秋にはデジタル地域通貨サービス「トチツーカ」のアプリを立ち上げるなど、現在もなおDXによる新たな試みを積極的に行っています。[注2]

② 伊予銀行

愛媛県を拠点に四国や山陽地方に展開する伊予銀行も、早くからDXに関する取り組みを行ってきた地方銀行です。

伊予銀行では単にDXを実施するだけではなく、リアルな対人の接客でしかできない価値提供も重視する、独自の「DHDモデル」(デジタルヒューマンデジタルモデル)というコンセプトを掲げています。

伊予銀行ではデジタルと人間それぞれができないところを補いあうやり方をDXで目指しており、他の金融機関とDXで差別化を図るためのポイントとしています。

伊予銀行のDHDモデルによるDXの主な施策例が、口座開設用アプリ「AGENT」をはじめとした自社アプリのリリースです。

特にAGENTは口座開設用アプリとして日本で初めてビデオチャット機能を採用しており、銀行の営業時間内ならスマホを通して質問や相談しながら手続きできるため、スマホの操作が苦手な方でも使いやすくなっています。

こうした取り組みは顧客からの評価も高く、伊予銀行は地方銀行のWEBコンテンツの性能などを評価する「Gomez地方銀行サイトランキング2022」において総合1位を獲得しています。[注3] [注4]

DXを推進する上で重要になること

DXの目的を明確にする

DXは単に顧客のデータをデジタルシステムに移したり、WEBコンテンツを整備したりすればいいわけではありません。

どんな目的でDXを行うか明確にしなければ、せっかく費用や工数をかけて業務改革しても顧客満足度などへの影響は出てきません。

先ほどの例で見ると、北國銀行は顧客とじっくり対峙する余裕を作るためにDXによる作業の効率化を行っていて、伊予銀行でも人ではできない部分をデジタルで補ってDXによるサービス向上を目指しています。

DXで何をどうしたいかが見えてくれば、具体的にどんな施策をしたらいいかも見えてくるはずです。

DXのための予算を確保する

コストカットのためにDXを行うといっても、DXを実施するにはそれなりの費用がかかってしまいます。

金銭的な余裕があまり無ければ、銀行の現行業務で無駄にかかっているコストをできるだけ削減して予算を捻出することが必要不可欠です。

今の業務体制を見直してもこれ以上、予算を用意するのは難しいという場合、DX関連の助成金・補助金制度を利用するのも手です。

厚生労働省が主体となっている助成金と地方自治体や各団体が提供している補助金でメリット・デメリットは異なりますが、いずれも交付金の額に関係なく返済不要なのが大きな特徴です。

他にもWEBコンテンツなどを専門的に扱う外部業者に業務を委託するのも、開発費用をおさえる点では効果的です。

ITスキルに強い人材を確保する

DXを実現するには当然ながら、ITスキルを持った人間をある程度用意しておかないといけません。

DXの作業量は多いため、少人数に業務を集中させずできるだけ多くの人員を巻き込むことや、個人の能力や性格から役割を的確に割り振ることも重要です。

IPA(情報処理推進機構)ではDX人材の役割として、DXのプロジェクトを監督する「プロダクトマネージャー」、具体的な施策内容を企画する「ビジネスデザイナー」、システムの設計や実装を担当する「テックリード」、必要なデータを調査分析する「データサイエンティスト」、AIなどの最先端技術を扱える「先端技術エンジニア」、システムのデザイン設計を行う「UI/UXデザイナー」、システムやインフラの構築を行う「プログラマ」などを定義しています。[注5]

まとめ

地方銀行ならではの強みを生かしたDXを行おう

地方銀行は大手の都市銀行に比べて、地元住民の要望にあわせたサービスを展開できるなどの強みがあるといわれています。

多くの地方銀行がシステムの老朽化や過疎化による顧客減少などの影響を受けているからこそ、DXによる業務改革はコスト面などで大きな役割を果たしてくれます。

ただし地方銀行の中にはWEBやITに関する知見を持った人材があまりいないところもあるでしょう。

その場合は、外部業者と連携してDX推進に取り組むといった方法もおすすめです。

関連リンク

[注1] 銀行口座はどう選んでる?口座開設事情を調査!|りそなグループ
[注2] デジタルトランスフォーメーション|北國フィナンシャルホールディングス
[注3] 伊予銀行は D-H-D Bankへ | 伊予銀行
[注4] 「Gomez地方銀行サイトランキング2022」の発表について | Gomez -Webサイトランキング・評価・構築サービス-
[注5] デジタルスキル標準 | デジタル人材の育成 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

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