保険・金融にも使える「ショールーミング」の考え方

保険・金融にも使える「ショールーミング」の考え方プロモーション

近年、アメリカを中心にショールーミングを取り入れたマーケティング戦略が注目を集めています。

ショールーミングとは店頭で商品を実際に吟味した後で、ネット上でより安く買えたり、より多くポイントをもらえたりできる通販サイトで購入するという顧客行動のことです。

実際の店舗と公式の通販サイトを両方運用している小売店であれば、ショールーミングをしに来たリードをそのまま自分のサイトで買ってもらえるよううまく誘導することも可能です。

今回はショールーミングを保険・金融の業界に活かす方法について解説します。

ショールーミングと「RaaS」という発想

ショールーミングという言葉は、ネット通販が欧米で普及しはじめた2012年ごろより使われ始めました。

当時は商品を確認する店舗と関連のない通販サイトで購入するといった流れが多かったため、小売業者にとってショールーミングは利益損失につながる好ましくない行動とされてきました。

実際にアメリカやオーストラリアのアパレルショップではショールーミングを行う客に対して、試着料金を請求することで利益が減らないようにした例も見られています。

しかし実店舗と通販サイトを両方運営する小売業者が一般的となった現在では、その場で購入させなくても自社サイトにうまく誘導すれば結果として自社の売上につながることから、ショールーミングをマーケティング戦略に取り込もうという動きも見られます。

小売業ではDXによりRaaS(小売業のサービス化)という概念が広がっています。

これは顧客などのビッグデータを取り入れた小売販売のソリューションをサービスとして提供することで、ショールーミングの活用も顧客の行動データをもとに最適な販売チャネルを準備できるため、RaaSの一つの形態だといえます。

客と店それぞれから見たショールーミングのメリット

客側から見たメリット

① 商品を体感して購入検討できる

ショールーミングの主な目的の一つに、実際に商品を見た印象をもとに購入検討することが挙げられます。

特に衣料品や化粧品などの場合は試しに使ってみないと自分にフィットするものなのか分からないため、ショールームを行う意味は大きいといえます。

たまたまネットで好印象のグッズを見かけて購入しても、商品の使い心地が悪ければ大きな損失と感じてしまいます。

店頭で実物を見てから購入すれば、自分にあわないものを買ってしまうことも防げますし、お目当てのもの以外にも自分にさらに合うものを見つけられる可能性もあります。

ショールーミングは来店客が失敗せず買い物するための手順の一つと言えるでしょう。

② 分からないことを迅速に聞ける

来店客にとってすぐに疑問に感じたことを聞けたり不安なことを相談できたりできる環境は、安心して買い物するための重要な要素です。

ネットショッピングの場合、チャットやメールで質問してもすぐには適切な回答が返ってくる可能性は高くありません。電話で聞こうとしても、回線が混雑して何十分や何時間も待たなければいけないことはよくあります。

ショールーミング用の店舗に商品やサービスのことに詳しいスタッフが常駐していれば、買い物中に思ったことをその場で聞けるほか、ネットショッピングに不慣れな方はスタッフの手助けを得ることもできます。

その場で不明点が解決できた状態で買い物できるため、カスタマーエクスペリエンスが上がりやすいです。

店側から見たメリット

① レジや在庫を設置せずに済む

ショールーミング専用の店舗は商品を販売しない分、有人レジや在庫を保管する倉庫を設置せずに済みます。
機械や設備を購入して運用や点検などを行う一連の費用がなくなり、店舗に出展する金銭的なハードルが下がります。

またレジ打ちや品出しなどのスタッフの業務も減って負担も少なくなるため、より少ない人数で店舗の運営を回せられます。

人手や資金の面で自分の店舗を持つのが難しいメーカーでも、気軽に出展しやすいのが特徴です。

② 顧客の行動をデータで残せる

ショールーミングの店舗は客のリアルな行動をチェックして分析しやすいのも大きなメリットです。

普通の店舗とは違い、ショールーミング用の店舗なら来店客が「入店したから何か買わないといけない」と感じることもありません。

そのため来店客は価格などを気にせず自由に商品を見るようになり、より自身の興味関心に沿って店内を訪れる確率が高くなります。

実際の顧客心理に近い行動パターンを把握できれば、マーケティングや営業の戦略に活かせるビッグデータとして活用できます。

保険・金融でのショールーミングの活かし方

ショールーミングはアパレルや家電製品などの小売店でよく見られる行動ですが、保険や銀行など金融業界のマーケティング戦略でどのように活用したらいいかまとめました。

① オンラインでの申し込みへの誘導

小売チェーンが来店客に自社のECサイトで購入するよう誘導するように、金融会社もショールーミングしてもらった来客をWEBコンテンツやオウンドメディアなどにアクセスしてもらうよう導線を作ることができます。

保険や投資信託など金融商品を新しく購入するときは、将来本当に利益が出るかじっくり悩んだり調べたりする人が多いと思います。

すぐに決断させようとして店頭でぐいぐい商品をアピールしても、来店客からしたら鬱陶しがられて逆効果になりやすいです。

しかし客側にオンラインで申し込む導線を提供することで、向こうで購入の意思が固まるまでじっくり購入意欲を育てるよう手立てを組めるようになります。

② 顧客の詳細情報の収集

自社のWEBコンテンツに来た方のアクセスログを分析することで、どの商品にどんな人が関心を持ちやすいのかデータとして集めて調べられるようになります。

アクセスログの分析は専門のツールなどを使うのですが、WEB運用の初心者でも操作しやすいものも多くあるため、知識や経験がない方でもすぐに知りたい情報が調べられるようになっています。

また来店客の行動も並行して分析することで、双方の分析結果をつなぎあわせて来店からWEBコンテンツへのアクセスまでの間どのような動きがあるか調べることも可能です。

こうしたログをビッグデータとして残しておくことで、顧客アンケートでは見えない来店客の細かな動きにも気づけやすくなるでしょう。

③ ネットでの口コミ拡散

お店に来た客にWEBコンテンツでの行動へつなげることで、ネット上で自社やその製品に関する意見を書いてもらえるよう促すことも可能です。

現在、ネットでの評判は会社やお店の人気を左右する重要なファクターになっており、いい内容の口コミは費用対効果の強い宣伝ツールとなってくれます。

以前、私物のパソコンが故障してお店に無料相談にいったところ、相談料の代わりにお店に来た感想をネットに投稿してほしいといわれたことがあります。

また素直な意見を聞きたいという場合は、申し込みの後などで匿名のアンケートに参加してもらうよう促すのも一つの手といえるでしょう。

まとめ

ショールーミングは金融業界にも十分に活かせる!

商品を売らずに見てもらうためだけの小売店、一見すると変わった店に見えるかもしれませんが、いわば洋服やお菓子などのアイテムのモデルルームとして作られています。

こうしたお店でショールーミングしてもらうことで、客の購入意欲をじっくり高めながら確実にオンラインでの行動に結びつける効果が期待できます。

保険・金融でも来店して色々聞いた客にじっくり考えてもらってオンラインで行動してもらう上で、WEBコンテンツへと促すショールーミングは力を発揮してくれるでしょう。

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