インバウンド客の増加に対応する為の「観光コミュニケーションのDX」

インバウンド客の増加に対応する為の「観光コミュニケーションのDX」プロモーション

コロナ禍のピークからすでに数年経っている現在、海外からの観光客数も以前と同じ水準にまで戻ってきています。

急激なインバウンド客の増加によりサービス業などあらゆる業界で利益拡大のチャンスが望めるものの、人によっては大勢の外国人観光客に対応できない課題が残っているという方もいるかもしれません。

そこで今回は少ない人員や予算でインバウンド客への対応を効率よく進めるための方法として、DXによる観光のコミュニケーション業務改善について解説します。

インバウンド客増加で見えてきた「観光の課題」

コロナ禍により2021年にはわずか25万人しかいなかった訪日外国人観光客は、翌2022年には383万人まで回復し、現在では毎月250万人近く来るほどになりました。 [注1]

帝国データバンクが公表している景気の動きの指標である景気DIで旅行業界を見てみると、2020年には景気DIが0ポイントだったのが2023年7月には55.2ポイントとコロナ前とほぼ変わらない水準まで上がっています。[注2]

観光業界は短期間で利用客や利益の増加が期待できる一方、安定したサービス提供のために解決しないといけない課題もあります。

解決すべき課題:円滑なコミュニケーション

観光庁が2019年に行った「訪日外国人が旅行中で困ったこと」の調査によると、1位は「特にない」だったものの、2位以降は情報のやり取りに関する悩みが多くあげられています。

1位特にない36.6%
2位スタッフや職員とのコミュニケーションができない20.6%
3位無線LANやWi-Fiが使いづらい18.7%
4位公共交通の利用方法が分からない16.6%
5位多言語表示の案内が少ない、分かりにくい16.4%

メジャーなチェーン店や観光施設等は外国人スタッフを雇って対応していますが、個人経営の店や小さな観光地の場合そうした対応も難しいでしょう。

また公共機関の利用方法に関しては、電車やバスの乗り方や予約の方法の案内説明が分かりにくいという声が目立っています。

外国人観光客の数を国籍ごとに見ていくと、韓国や台湾やタイなど東アジア・東南アジアの国々が上位を占めています。

様々な国の方が来るため、多くの言語に対応できればそれだけ観光地の顧客満足度向上につなげられます。[注3]

解決すべき課題:人手不足

2023年になってからコロナ禍前よりも宿泊業の就業者数自体は増えてきているものの、まだ人材面で課題がなくなったわけではありません。

宿泊業や飲食業などといった旅行に関わる業界では、非正規での雇用者の割合が正規雇用に比べて著しく高い一方、離職率では正規雇用の就業者の割合が目立ちます。

業界全体が非正規雇用の就業者が中心であるため、安定した人材確保や業務ノウハウの引継ぎなどができなくなることが懸念されています。

今年8月に京都市観光協会が観光事業者を対象に行った調査でも、人手不足を感じるという意見が7割にのぼっており、中でも接客を担当する従業員が足りていないという声が多く見られています。[注4]

観光業界の課題を解決するための「DX」

インバウンド需要の急増と慢性的な人手不足という観光業界の大きな課題を解決するには、業務内容をできるだけ効率化させて、少人数でも滞りなく接客対応できるようにしないといけません。

しかし作業の効率化って何をしたらいいか分からない…という方はいつもの業務をできるところからでもDXしていくのが効果的です。

日本能率協会の調査によれば、本格的なDXを実施したほぼ全ての企業がその目的を業務の効率化と回答しています。[注5]

DXにより特に効率性がよくなるのが、業務内でのコミュニケーションです。

観光業界のコミュニケーションでDXがどうメリットをもたらすのか、見ていきましょう。

観光業界でコミュニケーションをDXさせるメリット

① 問い合わせに効率よく応対できる

イベントの開催情報や座席の予約などの問い合わせが頻繁に来ると、リアルの観光窓口や電話での対応だけでは人手が足りず処理しきれないことが多々あります。

紙媒体のパンフレットなどの冊子を配布するにしても、紙面に掲載できる情報量には限界があります。

WEBサイトやアプリで問い合わせられるシステムを整備することで、観光客の問い合わせをまとめて柔軟に対応できるようになります。

② 動画へ誘導して魅力を伝えられる

お祭りで華やかな山車が練り歩く様子や一定の気候条件の合う日にだけ見られる絶景など、観光地の魅力はどうしても紙面上では伝わらないものです。

実際の様子を動画にまとめてWEB上にアップロードしておけば、いつでもどこでも視聴できるため有力なPRツールとして活用できます。

また臨場感をさらに演出したいという場合は、VRやARなどのコンテンツを導入してみるのもおすすめです。

③ 迅速に情報を修正・加筆できる

紙媒体の場合、営業時間やセール案内など細かな情報変更があるたびに刷り直す必要が出てくるため発注の手間やコストがかかってしまいます。

WEBサイトやデジタルブックなら内容の修正や加筆もすぐにできるため、時間や費用をおさえてユーザーに最新の情報を速やかに届けられます。

また紙媒体のように修正する前の古くなった冊子を回収して破棄する手間も必要なくなります。

④ マーケティング分析がしやすい

WEBコンテンツには、紙媒体の冊子ではできないユーザーのアクセス情報を計測することができます。

計測したビッグデータを分析することで観光客がどの部分に注目しているか調べれば潜在的なニーズが分かりやすくなるほか、出身国や性別などより細かな分類に分けて分析できるのでピンポイントでプロモーション施策を打ち出すのにも役立てられます。

「観光コミュニケーション × DX」の活用事例

チェーン店:来客を空いている店に誘導する

今や一地方にのみ展開するようなローカルチェーンにも全国から客が来ることが少なくありません。

主要駅や高速ICの近くにある店には客が殺到しているが、少し離れた郊外の系列店は比較的空いているという状況もよく見られます。

WEBページやアプリで現在の近隣の店舗情報をその場で確認できるようにすれば、待機時間を理由に来店を断念した人を別の店舗へと誘導できます。

このようにWEBコンテンツには、一つの店舗に接客の負担が集中したり混雑による来客の流失を防いだりできる効果が期待できます。

博物館:より臨場感のある展示が実現できる

博物館の展示品には恐竜の化石や古代遺跡の出土品など、現在の姿からかつてどんな形だったか想像しにくいものも多いですよね。

言葉で説明しただけでは展示物の持つ魅力や特徴は100%伝わりにくいため、詳しくない人にも興味を持ってもらえる見せ方とはなりにくいです。

音声や動画、VRなどあらゆるメディアの資料を整備してあげることで、展示内容が感覚的に分かるようになり、来館者の関心をより引きつけやすくなります。

顧客満足度の高い展示方法が実現できるため、それだけで博物館の宣伝効果やブランドイメージが上がるきっかけにもなります。

ホテル:フロントの業務負担を減らせる

ホテルの宿泊客とフロントスタッフとのやり取りにも、WEBコンテンツが活用できます。

例えばチェックイン・チェックアウトがQRコードでできるホテルが現在増えており、フロントにスタッフがいない時も速やかに宿泊客を部屋に誘導できるようになっています。

ほかにも館内の警備にIoTの技術を取り入れれば、ホテル内でトラブルが発生した場合にもすぐ警察や病院へ情報を発信できて迅速な対処が可能になります。

まとめ

観光業界のコミュニケーション業務はDX化で効率化できる!

現在、観光業界は急激なインバウンド増加と人手不足に直面しています。

特に地方の観光地では、人手不足で営業できない状態に陥っているものもあるほどです。

そんな時、少ない従業員でコミュニケーション業務を回すにはDX化が効果的といえるでしょう。

印刷会社という立場ですが、あえて今回は紙媒体からデジタルに変えるメリットをお伝えいたしました。

関連リンク

[注1] 訪日外客統計|JNTO(日本政府観光局)
[注2] 旅行業界の景況感に関する動向調査| 株式会社 帝国データバンク[TDB]
[注3] 訪日外国人が旅行中に困ったこと、受入環境整備の課題が明らかになりました ~受入環境について訪日外国人旅行者にアンケート調査を実施~ | 2019年 | 報道発表 | 報道・会見 | 観光庁
[注4] 観光業界における人手不足についての臨時調査の結果について | 京都市観光協会(DMO KYOTO)
[注5] 「日本企業の経営課題2022」調査報告【第1弾】DXの取り組み状況や課題 | 一般社団法人日本能率協会 JMA

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