スタディサプリのヒットから見る教育DXのこと

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今、全国の公立学校ではデジタル教材の導入など教育DXに関する取り組みがおこなわれています。

また民間企業と連携してより良い教育の実現に向けたDXの事例も少なくありません。

今回はオンライン授業アプリのスタディサプリのヒットや課題点とともに、教育業界でどうDXが進められているか見ていきます。

教育DXと教育のデジタル化の違い

教育DXとは単に学校や学習塾に最先端の機器を設置したりデジタル技術を導入したりすることではありません。

機器や技術を活用して、学校のカリキュラムや学習内容、教職員の業務などの既存のシステムをより効率化・高品質化していくことが教育DXの狙いです。

特にこれまで主流だった対集団の教育から、生徒一人ひとりに焦点をあてたものへと教育の仕組みそのものを変革するのが目標といわれています。

 

また教育DXでは導入した機器や技術を先生や生徒が、どれほど使いこなせるかがポイントとなります。

そのため高校の教育DXでは、IT技術を使いこなせる人材育成のための授業なども計画されています。

教育DXによるメリットとして、主に以下のことがあげられます。

① ビッグデータを活用できる

今までの生徒の学習情報が蓄積されたビッグデータを生かして、生徒一人ひとりの特徴や学習状況にあわせた授業内容を提供できるようになります。

 

② 授業や業務の負担を軽減できる

教育DXでCBT(学力試験などの採点の自動化)が普及することで教師の業務負担を軽減できるため、長時間の残業がなくなるなど教師の働き方が改善されます。

 

③ 緊急時の対応を強化できる

生徒一人ひとりにタブレット端末が支給されるため、災害時や緊急時でも即座に教師や保護者とコミュニケーションが取れます。

また何らかの事情で長期間学校に行けなくなった場合もリモート授業をおこなうことで、授業の遅れが出ないようにできます。

日本は欧米諸国に比べて教育DXが進んでいないといわれています。

そのため、文部科学省が中心となって官民連携であらゆる教育DXのプロジェクトが行われています。

その一つが、リクルートマーケティングパートナーズが提供するオンライン授業アプリ「スタディサプリ」と公立学校の連携です。

 

スタディサプリの概要

スタディサプリは、サブスクリプション方式でプロの講師による「神授業」の動画を自由に視聴できるサービスです。

配信されている動画は小中高生向けの講座のほかに、社会人向けのオンライン英会話講座などもあります。

授業動画は5~30分程度と比較的短いものが多く、もう一度見たいところがあれば何度でも繰り返し再生できるのが特徴です。

通学時間や待ち合わせなどのすき間時間をちょっとした勉強に活用できるため、忙しい学生のニーズに適合してスタディサプリは順調にユーザー数を伸ばしています。

また2015年には福井県内の小中学校でスタディサプリの導入実験が行われ、積極的に利用したクラスでは生徒の平均成績が向上したことが判明しており、現在多くの学校でスタディサプリを授業に取り入れています。[注1]

 

スタディサプリが果たした意義

① 教育格差の是正

スタディサプリはもともと、学習塾が近くにない地方の学生や経済的な事情で学習塾に通えない学生向けに、どこでも手ごろな値段で塾と同等の授業を受けられるツールとして開発されました。

サービスが本格的に始まった2013年にはすでに日本中にスマホが普及していたため、スタディサプリは瞬く間に学生たちの間で普及しました。

スタディサプリは将来海外進出を狙っており、日本国内だけでなく国同士での教育格差の是正も目指しています。

 

② 非認知能力の育成

スタディサプリには動画配信の他に、自ら先生と話し合い学習計画を立てるデジタルポートフォリオや生徒が自由にテーマを設定して情報を調査・収集・要約する探究講座などの機能があります。

現在、教育改革の一環としてコミュニケーションやセルフマネジメントといった学力試験では測れない能力(非認知能力)が重視されており、スタディサプリの各機能もその育成に役立てられます。

またスタディサプリで調べてきたことをもとに、授業でプレゼン発表やグループディスカッションをおこなっている学校もあります。

 

スタディサプリの課題点

① 生徒のやる気が出にくい

スタディサプリは自宅や移動中などどこでもできることから、気持ちのオンオフが切り替えにくい、友達やクラスメイトがいない環境だと孤立しやすい、隠れて別のアプリを操作していてもバレにくいといった点で生徒によってはやる気が出にくいこともあります。

 

② 自由に質問できない

スタディサプリでは、受験特化型のコースだけの機能として分からない問題をチューターに解説してもらえる機能があります。

しかしチャット形式でやり取りするためすぐに返事が来ないほか、質問できる回数も制限があることから、分からないことをその場で自由に質問できる点では塾や予備校のほうが便利だといえるでしょう。

 

まとめ

教育DXが進めば、より個人にフォーカスを置いた授業を展開できるようになるほか、講師の業務負担も減って余力を授業のさらなる品質向上にあてられるようになります。

またオンライン授業アプリのスタディサプリは、出身地や経済力による学力格差を縮めて、非認知能力の育成をサポートする特徴からリリース以降、一気に学生の間で広まりました。

しかし今の段階では、まだ講師と生徒の間でコミュニケーションを自由に取れる機能が不十分で、人によっては塾や予備校のほうが使い勝手がいいと感じるでしょう。

しかし日本で教育DXが本格的に推進されはじめたのは最近のこと。

将来的には、オンライン授業も生徒と講師がより自由に交流できるようになっているかもしれないですね。

 

関連リンク

[注1] 大学ジャーナルオンライン|福井大学など “スタディサプリ”を利用した授業を研究

 

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