シニアマーケティングは難しい?失敗事例やうまく進めるコツを紹介

シニアマーケティングは難しい?失敗事例やうまく進めるコツを紹介プロモーション

少子高齢化が進む現代日本では、シニア層を客層として取り込むシニアマーケティングが活発化しています。

しかし、シニアマーケティングは簡単なものではなく、新規参入に失敗する事例も少なくありません。

シニアマーケティングを成功に導くためには、失敗する原因を把握し、うまく進めるためのコツを掴むことが大切です。

今回はシニアマーケティングが難しいといわれる理由や、主な失敗事例、うまく進めるコツについて解説します。

シニアマーケティングが難しいといわれる理由

2023年4月時点における日本の高齢化率(65歳以上)は29.0%に及んでおり、およそ3.4人に1人が高齢者となっています。[注1]

分母が大きいぶん、シニアマーケティングは成功しやすいと思われがちですが、実際には一定の成果を上げるのは難しい分野とされています。

なぜシニアマーケティングは難しいといわれるのか、その理由は大きく分けて3つあります。

ペルソナを設定しづらい

マーケティングでは、ターゲットに対するアプローチ方法を検討する際、ペルソナを作成します。

ペルソナがより具体的なものであるほど効果的なアプローチ方法を模索しやすくなるといわれていますが、子育てや仕事が一段落しているシニア世代のライフスタイルは多種多様で、ターゲットのイメージを正確に把握するのが困難です。

そのため、一般的なデータや統計をもとにペルソナを作成しなければなりませんが、データだけではシニアの実像に迫るのは難しく、ペルソナ作りが難航することも多いようです。

インターネット利用率が低い

総務省が発表している「令和4年通信利用動向調査の結果」によると、インターネット利用率は13歳~59歳までの年齢で軒並み90%以上に到達している一方、60代以降は9割を下回っています。[注2]

内訳を見ると、60代は86.8%、70代は65.5%、80歳以上になると33.2%にまで落ち込みます。

近年のマーケティングはWebやSNSを活用したオンラインマーケティングが主流となっていますが、インターネット利用率が低いシニア世代では思ったような効果が出にくいため、ほかのアプローチ方法を模索する必要があります。

拡散を期待できない

SNSを多用する若年層では、個人が発信した情報が瞬く間に拡散されることが多々あります。

トレンドになれば、自社の商品やサービスに興味・関心を抱いてくれる人がねずみ算式に増えていくため、顧客を取り込みやすい傾向にあります。

一方、シニア世代は流行廃りよりも、自分が慣れ親しんだものを好んで購入する人が大多数を占めます。「

人気そうだから買ってみよう」「ほかの人がやっているから試してみよう」という心理が働きにくいぶん、短期間で爆発的なヒットを期待できないところがネックとされています。

シニアマーケティングの失敗事例

ここでは参考までに、シニアマーケティングの主な失敗事例を2つ紹介します。

固定観念を払拭できずアプローチに失敗

シニア世代をよく知らない人は、「定年退職してから、ほぼ自宅で過ごしている」「足腰が弱っているのでアクティブな活動はしない」など、一方的な固定観念を抱いてしまいがちです。

しかし、一言にシニアといっても、年代は60歳~100歳程度まで幅広いため、健康状態やライフスタイルには大きな違いがあります。

たとえば、自宅で静かに過ごしている人もいれば、屋外に出てアクティブに活動しているシニア世代もいます。

これらの人々を「シニア」という大枠で一括りにしてしまうと、適切なアプローチができず、マーケティングに失敗する可能性があります。

実際、高齢者に対する固定観念を払拭できず、「自宅で長時間過ごしている」「アクティブな活動を行わない」といった高齢者のペルソナをもとに商品・サービスを開発したところ、思ったような反響が得られずに失敗したというケースも見受けられます。

広告媒体の費用対効果を見誤って失敗

前述のように、シニア世代はほかの世代に比べてインターネット利用率が低いです。

しかし、テレビCMや新聞広告、チラシといった昔ながらの広告に頼るのは不安が残ります。

理由として、WebサイトやSNSといったオンライン広告に比べると、従来の広告は費用が高く、予算を圧迫するおそれがあるためです。

従来の広告を打ち出して、一定の効果が出たとしても、費用対効果が低ければマーケティングに成功したとはいえません。

実際、テレビCMや新聞広告、チラシ、ポスターといったアナログな広告媒体に傾倒した結果、広告費がかさんで利益が上がらず、撤退を余儀なくされた事例もあります。

シニアマーケティングをうまく進めるためのポイント

シニアマーケティングを成功に導くために押さえておきたいポイントを3つ紹介します。

固定観念を捨てる

「シニアならこう考えるだろう」「シニアはこんな生活を送っているだろう」といった固定観念を抱いていると、一部のシニア層にしかアプローチすることができません。

むしろ、シニアのライフスタイルやニーズはほかの世代よりも幅広い傾向にありますので、勝手なイメージをもとにした固定観念を払拭することが大切です。

シニアを複数のタイプに分けて考える

シニアマーケティングでは、生活環境やニーズをもとに、シニア世代を以下4つに分類して考えるのが基本となっています。

  • 現役シニア
  • アクティブシニア
  • ノンアクティブシニア
  • パッシブシニア

現役シニアとは、現役で働いているシニア世代のことです。

定年退職を迎える前の60代前半や、定年後、再雇用制度を活用して働いている人が対象です。

アクティブシニアは、趣味やボランティアなどの活動を積極的に行っているシニア世代のことです。

余暇を屋外で過ごしていることも多く、中にはほとんど家にいないという人もいます。

ノンアクティブシニアは、自宅で静かに過ごしているシニア世代のことです。

テレビを見たり、読書をしたりして過ごすことが多いところが特徴です。

パッシブシニアは自立した生活を送れず、日常的に介護を必要とするシニア世代のことです。

パッシブシニアの場合、本人へのアプローチだけでなく、介護を行っている人への訴求も考える必要があります。

このように、同じシニア世代でも、タイプによってニーズや生活様式が大きく異なるため、どのタイプにアプローチしたいのかを明確にしてからマーケティングの計画を立てることが大切です。

アナログとデジタルを使い分ける

シニアマーケティングの費用対効果を高めるには、アナログ手法だけでなく、コストの低いデジタル手法も上手に取り入れる必要があります。

とくに注目したいのは60代のシニアです。全体の8割以上がインターネットを利用し、そのうちの7割以上はスマートフォンも利用しています。[注2]

そのため、WebサイトやSNSを使ったアプローチもある程度有効と考えられます。

一方、インターネット利用率が3割台まで落ち込む80歳以上のシニアには、インターネットを利用したアプローチは功を奏さない可能性大です。

60代にアプローチしたい場合はインターネットを、80歳以上に訴求したい場合はアナログ手法を中心にするなど、年代に応じて適切な広告媒体を活用することが大切です。

まとめ

シニアマーケティングはコツを押さえて進めることが大切

高齢化が進む現代日本において、シニア市場は大きなビジネスチャンスを掴める場といわれています。

しかし、シニア世代のニーズや生活様式は多種多様であり、年代によっては現在主流のオンラインマーケティングが有効でないなど、難しい面も多々あります。

「シニアならこうに違いない」といった固定観念を持ったままマーケティングを行うことは危険です。

シニア世代を複数のタイプに分け、それぞれのニーズやライフスタイルに合った訴求を行うなどの工夫が取り入れましょう。

関連リンク

[注1] 内閣府「第1節 高齢化の状況」
[注2] 総務省「令和4年通信利用動向調査の結果」

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