介護DXを推進すべき理由とは?メリットや課題も解説

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コロナ禍をきっかけとして、データやデジタル技術の力で介護現場を変革する「介護DX」に取り組む施設が増えています。

たとえば、厚生労働省が介護ソフトやタブレット端末などの導入支援を行っている「令和2年度ICT導入支援事業」の対象者は、前年度の195事業所から約13倍の2,560事業所に増加しました。[注1]

多くの介護施設がDXを推進する背景には、人手不足や2025年問題への対応など介護業界に特有の課題があります。

この記事では、介護現場のDXが介護業界の課題につながる理由や、介護DXを実現するメリット、介護DXの事例を解説します。

介護DXを推進すべき理由は?「2025年問題」への対応が必要

医療業界や介護業界が直面しているのが「2025年問題」です。

少子高齢化が進む日本では、2025年に第1次ベビーブーム世代(団塊の世代)が後期高齢者になり、医療や介護サービスを圧迫すると予想されています。

厚生労働省の推計によると、2025年の65歳以上の高齢者は3,657万人、要介護者が多い75歳以上の高齢者は全体の18.1%の2,179万人に達します。[注2]

介護サービスの需要の高まりに備えて、介護業界は介護福祉士やヘルパーなどの人員確保や、介護現場の業務効率化に取り組み、質の高い介護サービスを継続的に提供できる仕組みを構築しなければなりません。

そのための手段が、介護現場にデータやデジタル技術を取り入れ、介護業務のあり方を変革する「介護DX」です。

介護DXを実現する3つのメリット

介護DXを実現するメリットは3つあります。

業務効率化につながる

介護現場にデータやデジタル技術を取り入れることで、従来は人手で行っていた業務を自動化・省力化できます

たとえば、介護DXによる業務効率化の例として次のようなものがあります。

  • 介護記録などの文書をペーパーレス化し、オンラインで事務作業を行う
  • ケアプランの作成をAIが補助し、ケアサービスの提供までのリードタイムを短縮する
  • 見守りセンサーを活用し、入居者の見回りの回数を削減する
  • 入居者の体調をモニタリングし、システム画面で健康状態を一元管理する

人件費を削減できる

介護業務の効率化に成功すれば、人件費の削減にもつながります。内閣府の特別世論調査によると、「介護で苦労したこと」として次の5項目が上位に入っています。[注3]

おむつ交換62.5%
入浴の介助58.3%
食事の介助49.1%
移乗動作の介助48.3%
起居動作の介助47.7%

おむつ交換や入浴の介助など介護現場で苦労する業務も、介護ソフトや介護ロボットの導入により、より少ない人員でこなせるようになります。

介護サービスの質が向上する

AIやIoT、ロボットなどの最新のテクノロジーを駆使することで、介護サービスの質を向上させることができます。

たとえば、情報通信研究機構(NICT)とKDDIは、柴犬の形の対話ロボットMICSUSを活用し、病床の見守りや入居者とのコミュニケーションを行う実証実験を開始しました。

従来の人手に頼った介護サービスではなく、データやデジタル技術を取り入れた介護サービスを提供することで、入居者の健康状態や認知機能をより維持できるようになります。

介護DXの障壁となる3つの課題

介護DXを実現するうえで解決しなければならない課題は3つあります。

① IT投資のコストがかかる

介護DXを実現するには、介護ソフトや介護ロボットの導入、介護記録のペーパーレス化、オンライン面会の環境整備など、さまざまなIT投資が必要になります。介護DXの費用対効果を見極めながら、スモールスタートで介護DXを推進することが大切です。

介護現場の課題の優先順位付けを行い、できるところからDXを実現しましょう。

② 現場のIT人材が不足し、DXを推進するキーマンがいない

現場のIT人材が不足し、DX戦略の立案や製品・サービスの選定などを行う「DXのキーマン」が少ないのも介護DXの課題です。情報処理推進機構(IPA)の「DX白書2021」によると、「事業戦略上、変革を担う人材」が不足していると回答した日本企業の割合は全体の76%に達しています。[注4]

IT人材を内部で確保するのが難しい場合、DX分野のコンサルティングを利用する方法もあります。

③ 情報漏洩のリスクが高まる

介護記録などの文書をペーパーレス化し、オンラインの介護ソフトでやりとりすれば、外部からのサイバー攻撃や情報漏洩のリスクが高まります。

入居者や職員の個人情報を守るため、製品・サービスの価格や利便性だけでなく、セキュリティを意識してICTを導入する必要があります。

介護DXの事例を紹介

介護DXの成功事例として、デイサービスの送迎車両に着目した群馬県高崎市の取り組みが挙げられます。高崎市の介護施設では、送迎車両の運行計画にコンピュータの数理モデルを取り入れ、急なトラブルがあっても最短10分で運行計画を最適化できるサービスを開発しました。

結果として、「高齢者が送迎車両をすぐに予約できるようになった」「配車管理業務を大幅に効率化できた」といったメリットが得られました。

まとめ

介護DXに取り組み、介護現場の課題を解決しよう

「2025年問題」が迫るなかで、介護業界はデータやデジタル技術を積極的に取り入れ、介護DXに着手する必要があります。

介護DXを実現することで、「業務効率化」「人件費削減」「サービス向上」の3つのメリットを得られます。介護現場の課題の優先順位をつけ、できるところからDXを推進しましょう。

関連リンク

[注1] 厚生労働省:「介護現場におけるICTの利用促進」
[注2] 厚生労働省:「今後の高齢者人口の見通し」
[注3] 内閣府 :「「介護ロボットに関する特別世論調査」の概要」
[注4] 
独立行政法人 情報処理推進機構:「DX白書2021 第3部 デジタル時代の人材」

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